エリート商社マンはわたしの王子様~見てるだけで幸せだった推しの恋愛対象がわたしってどういうことですか?~
「まいったね。わたしにそんなに率直に物申す男はさすがにいなかった。気に入ったよ」

「恐れ入ります」

そのあと少し間があった。
教授はお茶を一口口に含んだ。

「由莉愛の就活を支持したいと思ってね。崎本くん。キミが由莉愛の表情を豊かにしてくれたのだと祥子から聞いた。だから会いたいと思ったんだ。由莉愛はわたしが助けてやらないと将来一般企業になど到底就職できないだろうしまともに恋愛もできないと思っていたからね。その責任はわたしにある。それはわかっているが、だからこそ、研究室を継がせようと、あんな男との結婚を用意した。本当に悪かった」

深々と頭をさげた。

横を見ると由莉愛がじっと頭をさげる父親を見ている。

「わたしは就活を支持してくれたら十分です。わたしの私生活のことまで考えて散々今まで失敗したんですからもう何もしないで。わたしは自分で…というか、崎本さんがいるから大丈夫です」
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