エリート商社マンはわたしの王子様~見てるだけで幸せだった推しの恋愛対象がわたしってどういうことですか?~
「あ、ごめん。キミ。おかわりもらえる?」

突然王子様が声をあげて、周りを見渡すと自分しかいないことに気づき、わたしは面食らった。

「わ、わたしですか?」

「え?そうだよ。スタッフさんでしょ?彼女のほうのキャラメルミルクティーおかわり入れてあげてくれるかな?あとそこのケーキもつけてあげて」

「は、ああっ、はいっ」

はじめてだ。はじめて話しかけられた。
どうしよう。今日寝られない…

王子様のにっこり笑顔にズキュンと撃ち抜かれたわたしはほうぼうの体で奥へ戻ると「キャラメルミルクティー追加でー」と叫び、自らはケーキの準備にとりかかった。

「ねぇ。拓海(たくみ)。こんなもんで釣ろうったってだまされないから」

ド緊張しながら王子様のテーブルへ追加のキャラメルミルクティーとケーキを運ぶと女性は眉をつりあげて怒っているようだ。
どうやらいつもの展開らしい。
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