エリート商社マンはわたしの王子様~見てるだけで幸せだった推しの恋愛対象がわたしってどういうことですか?~
「い、いえ。まだ。迷っていて…」

「上来る気はないのかな?」

長谷川さんはこの研究室の大学院生だ。
大学院に進学しないかと言っているのだ。
どうしたのだろう?
人のこと気にするような人じゃないのに。
特にわたしのことなんか…空気みたいな扱われ方しかしたことないのに…

「柳田さんの成績なら二つ返事でOKじゃないかな?キミが就職してしまうのはもったいない気がするんだ」

「あ、えっと…」

上。上も考えた。けど…

「まだ時間はあるので…」

「ふうん。そっか。上、来たくなったらいつでもサポートするから。言って」

そしてにこっと笑った?
え?
笑ったの?
あの長谷川さんが?


「ありがとうございます」

研究室を出て「ふぅー」っと息を吐く。
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