エリート商社マンはわたしの王子様~見てるだけで幸せだった推しの恋愛対象がわたしってどういうことですか?~
「あ、すみません」

あ、つい。
困っていそうに見えたから。

「キミ、フランス語できるの?」

「あ、えっと。昔住んでいたので」

「マジで?うわっ。それ最高」

ぱあっと王子様が眩しい笑顔になった。

「え?あの…」

「ネットのAI辞書とかで翻訳するんだけど、めちゃくちゃな和訳だからさ。もう困ってたんだよね。ねぇ。明日ヒマ?」

「え?」

「このクライアント。抽象的な言葉ばっかり使ってくるんだよ。だからほんと、お願い。手伝って」

「え、でも…」

「あ、そっか。彼氏と約束あったりするか…」

か、彼氏?めっそうもございません。
そんなのいるわけないじゃないですか。

「そんな人いませんっ!」

思わず声を大きく言ってしまった。

きょとんとした王子様の顔。
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