エリート商社マンはわたしの王子様~見てるだけで幸せだった推しの恋愛対象がわたしってどういうことですか?~


小さいころから引っ込み思案で他人から顔を見られるのが好きじゃなかった。

おばあちゃんにこの顔が嫌いだと言われたから。
息子を捨てた女そっくりだと言われたから。

だから、自分もこの顔が嫌いだった。

ビクビクしながら田舎のおばあちゃんの家で幼少期を過ごしたわたしはその後小学生になると同時に父親に引き取られた。

父親は大学の研究員をしていて世界を飛び回っていたため、離婚後に仕方なく小さかった娘を自分の母親に預けたが、小学校になるなら海外生活も耐えられると思ったのだろう。

突然呼ばれた場所はフランスだった。
現地の学校に放り込まれ、放課後は晩まで研究に開けくれる父親の研究室に帰る。
そんな生活を送っていた。

それでも最初の頃は良かった。
ようやく祖母の怨念から逃れられたわたしは父の研究室の学生たちと話したりしているうちに表情を出せるようになっていたと思う。
笑ったりもするようになった。
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