エリート商社マンはわたしの王子様~見てるだけで幸せだった推しの恋愛対象がわたしってどういうことですか?~
少なくとも父と知らない女性とともに暮らすよりは母との二人暮らしの方が気が楽だった。

養育費は父から結構な額が振り込まれていたらしく、お金には困らなかったし、母との生活はわたしに笑顔を戻してはくれたが、産まれてから12年間表情を消して影のように生きてきたわたしの心は完全に壁を取り除くことはむずかしく、学校生活にも苦労した。

友達もほとんどおらず、少しおしゃれをしただけで、クラスの目立つ女子たちから呼び出しを受けたりしたので、元通り表情を消す生活をつづけた。

そんな中わたしの唯一の救いは、ゲームだった。

母は生活費のために夜遅くまで忙しく働いていたし、疲れ切っている母に自分の生活の悩みを打ち明けるのは気が引けた。
友達が殆どいなかったわたしはゲームと友達になった。
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