ホテル王の甘く過激なご要望

11 体調不良と

次の日、武人のマンションから朝一で自分のマンションに帰った私は、シャワーを浴びていつものワイシャツとスカートに着替えた。

そして、ホテル・ヘブンリーフェザーに向かった。

天羽オーナーはコンシェルジュ嫌い…
だから、私にも色々な嫌がらせをしているんだわ…
辞めさせようと思って…

負けるもんですか!
私はコンシェルジュを辞めたりしない!

そう意気込んで、更衣室で制服に着替え、コンシェルジュルームに向かった。

「あぁ、おはよう、琴宮。」

青葉チーフが私に声をかける。

「おはようございます、チーフ。」

私は一礼して言った。

「実はな、琴宮の担当の天羽オーナーが昨日から体調が悪いようなんだ。
もしも、必要があれば、病院へ付き添うか、訪問診療を頼んでくれ。
とにかく、天羽オーナーの体調を万全に整える努力をしてくれ。
いいな?」

青葉チーフは言う。

「承知しました。
最大限努力します。
では、私はオープンロイヤルスイートに向かいますので。」

私は言った。

「あぁ、頼んだぞ。」

青葉チーフが言う。

専用のエレベーターに乗り、オープンロイヤルスイートのある40階へ向かった。
中に入ると、天羽オーナーの姿はリビングには無かった。

寝室かしら?
やっぱり?

しかし、寝室にズカズカ入るのは気が引ける。

とりあえず、寝室の扉をノックしてみる。

「あぁ…
入れ…よ…」
 
天羽オーナーの元気のない声が返ってきた。

「失礼致します。」

「こと…みや…か。」

天羽オーナーはベッドに寝ているが、唇は真っ青で、顔色も悪い。

「天羽オーナー、すぐに訪問診療を呼びましょう!
唇が真っ青ですわ!」

私は携帯を取り出し、愛月病院の医師に電話をかけようとする。

「いや…だ…
医者は…嫌いだ…」

はぁ?
何を子供みたいな事を?

「そんな事言ってる場合じゃないでしょう!
とにかく電話しますから!」

私は愛月病院に電話をかけ、医師を呼んだ。

「琴…みや…」

「はい、どうしました?」

「注射…しない…よな…?」

天羽オーナーが言う。

「それは…
必要があれば…するんじゃ無いですか?」

まともに答える私。

「な、な、治った…!
もう、医者は帰して…く…れ…」

天羽オーナーはヨロヨロと起き上がろうとする。

「無茶ですよ!
そんな顔色で動けるはず無いわ!」

私は天羽オーナーをベッドに戻す。

「注射する…くらい…なら…
俺はこのまま…死ぬ…」

はぁ!?

「何を4歳児みたいな事言ってるんですか!?
注射なんて、ちょっとチカッとするだけですよ!」

ホテル王がまさかの注射恐怖症?
私は苦笑いするしか無かった。

医師がやってきて、診断の末、点滴をすることになった。

「い…やだ…
この…医者は…ヤブだ…
琴宮、追い返せ…!」

「はいはい、ちょっとチカっとするだけですからねー?」

私は子供を宥めるようにそう言って、天羽オーナーの反対側の手を握ってあげた。

「俺に…針を…刺したら…
お前の…病院…潰してやる…」

とんでも無いことを言う天羽オーナーに、

「先生ブスッとやっちゃってください!」

私は無情にそう言った。

「ことみやぁぁ!(怒
覚えて…ろ…よ…

イッテェ!」

無事に点滴の針は刺さった。

医師が帰った後…

「アイツ…の…医師免許を…剥奪して…やる…」

と、言い残し、天羽オーナーはスヤァと眠った。

唇の色が戻ってきて、顔色も良くなってきた。
良かったわ…

私はそう言えばずっと天羽オーナーの手を握っていた事に気づいた。
離そうとするが、天羽オーナーはガッチリ私の手を握って離す気配がない。

うーん…
ま、寝てたら悪さもできないか。

そして、私も昨日武人の家であまり寝ていなかった為に、ベッドにもたれて眠ってしまった。
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