【完結】ホテル王の甘く過激なご要望
16 ありがとう…
side天羽萬里
島月市の裏通りからさらに奥に進んだ所に、その家はあった。
お世辞にも綺麗とは言えず、古びた家だった。
でも、俺にはなんだか、とても大きく見えた。
馬鹿な…
もう20年以上前の事なのに…
今だに怖いなんて…
こんなにも、地位も名誉も手に入れた俺が…
琴宮が俺の腕に軽く触れ、「行きましょう…」と言った。
俺は静かに頷くと、玄関の前に立った。
インターホンは壊れているのか、何度鳴らしても返事は無かった。
琴宮がドアをノックし、「藤井さん、ホテル・ヘブンリーフェザーの琴宮と申します!」と言った。
中から40代後半の女性が出てきた。
皺は増えているし、白髪混じりだったが、確かにそれは藤井さんだった。
「…ホテルの方が何のご用ですか?」
相変わらず嫌そうな顔で、藤井さんはそう言った。
そう…だ…
俺はあの顔を何度もされて…
甘える度に突き放されて…
「オーナー…!
天羽オーナー!」
琴宮が腕を揺する声でハッとした。
「天羽…?
まさか、あの時の…?」
藤井さんが少しの驚きと嫌悪感を込めてそう言った。
「そうだ…
俺は、アンタがいじめ散らかしたあの時のガキだ。」
「へぇ、だから何なの?
もう、私はコンシェルジュじゃないんだから、関係ないじゃないの。」
冷たく言い放たれた。
俺は何も言えずに固まっていた。
「そんな言い方酷すぎます!
天羽オーナーは、あなたからされた事で傷ついているんですよ!?
謝って…
そう、謝ってください!」
琴宮が怒りの表情で言った。
「もういい、琴宮。」
俺は言うが。
「よくないっ!
あなたがした事は一生懸命働いているコンシェルジュ達をおとしめた行為でもあるんです!
いえ、そんな事よりも、1人の幼い子供を深く傷つけた!
謝ってください!」
琴宮が殴りかかりそうな勢いで言う。
「知らないわよっ、そんなの!
今更謝れなんて…
もう時効でしょ!」
藤井さんは言う。
「心の傷に時効なんてありません!
私はコンシェルジュのクビをかけて、あなたを許さない!
警察を呼ばれても、牢屋に入れられても、あなたを許しません!」
「こと…みや…」
「な、な、なんなのよ!」
藤井さんは迷惑そうに言った。
「謝ってください…」
琴宮は泣いていた。
「わ、わ、わかったわよ!
謝れば良いんでしょう!?
悪かったわ、あの時は親の介護もあって…
子供嫌いだったし…
あなたには…
辛く当たってしまった…」
藤井さんはそう言った。
そして、俺の返事も聞かずに玄関のドアを閉めた。
しばらくして、俺は琴宮を引き寄せ、抱きしめた。
「ありがとう…」
それしか、言えなかったが、腕の中の琴宮は泣きながら何度も頷いてくれた。
島月市の裏通りからさらに奥に進んだ所に、その家はあった。
お世辞にも綺麗とは言えず、古びた家だった。
でも、俺にはなんだか、とても大きく見えた。
馬鹿な…
もう20年以上前の事なのに…
今だに怖いなんて…
こんなにも、地位も名誉も手に入れた俺が…
琴宮が俺の腕に軽く触れ、「行きましょう…」と言った。
俺は静かに頷くと、玄関の前に立った。
インターホンは壊れているのか、何度鳴らしても返事は無かった。
琴宮がドアをノックし、「藤井さん、ホテル・ヘブンリーフェザーの琴宮と申します!」と言った。
中から40代後半の女性が出てきた。
皺は増えているし、白髪混じりだったが、確かにそれは藤井さんだった。
「…ホテルの方が何のご用ですか?」
相変わらず嫌そうな顔で、藤井さんはそう言った。
そう…だ…
俺はあの顔を何度もされて…
甘える度に突き放されて…
「オーナー…!
天羽オーナー!」
琴宮が腕を揺する声でハッとした。
「天羽…?
まさか、あの時の…?」
藤井さんが少しの驚きと嫌悪感を込めてそう言った。
「そうだ…
俺は、アンタがいじめ散らかしたあの時のガキだ。」
「へぇ、だから何なの?
もう、私はコンシェルジュじゃないんだから、関係ないじゃないの。」
冷たく言い放たれた。
俺は何も言えずに固まっていた。
「そんな言い方酷すぎます!
天羽オーナーは、あなたからされた事で傷ついているんですよ!?
謝って…
そう、謝ってください!」
琴宮が怒りの表情で言った。
「もういい、琴宮。」
俺は言うが。
「よくないっ!
あなたがした事は一生懸命働いているコンシェルジュ達をおとしめた行為でもあるんです!
いえ、そんな事よりも、1人の幼い子供を深く傷つけた!
謝ってください!」
琴宮が殴りかかりそうな勢いで言う。
「知らないわよっ、そんなの!
今更謝れなんて…
もう時効でしょ!」
藤井さんは言う。
「心の傷に時効なんてありません!
私はコンシェルジュのクビをかけて、あなたを許さない!
警察を呼ばれても、牢屋に入れられても、あなたを許しません!」
「こと…みや…」
「な、な、なんなのよ!」
藤井さんは迷惑そうに言った。
「謝ってください…」
琴宮は泣いていた。
「わ、わ、わかったわよ!
謝れば良いんでしょう!?
悪かったわ、あの時は親の介護もあって…
子供嫌いだったし…
あなたには…
辛く当たってしまった…」
藤井さんはそう言った。
そして、俺の返事も聞かずに玄関のドアを閉めた。
しばらくして、俺は琴宮を引き寄せ、抱きしめた。
「ありがとう…」
それしか、言えなかったが、腕の中の琴宮は泣きながら何度も頷いてくれた。