【完結】ホテル王の甘く過激なご要望
第2章 スキ?

17 休日の予定

それから、数日間、天羽オーナーは出張で、私はオープンロイヤルスイートから呼び出される事は無かった。

あれだけわがままセクハラ放題されていたが、いざ居なくなると、なんだか寂しいものだ。

とは言っても、コンシェルジュの仕事はある訳で…
私は、天羽オーナーが出張の間、ロイヤルスイートとスイート以外のホテルのお客様を担当する事になった。

「ありがとう、お姉ちゃん!」

「はい!
また来て下さいね!」

4人連れの家族をお見送りしながら、私は手を振った。

そうそう!
これが私の仕事よね!

そう思って、張り切って仕事に励んだ。

明日は久しぶりの休みだし…
何しようかな?

お家でゴロゴロも捨てがたいけど、美容室とか、買い物にも全然行ってないから〜…

そんな事を思いながら、コンシェルジュルームで休憩を取っていると…

武人(たけと)がコンシェルジュルームに入ってきた。

「おっす。
お疲れ〜。」

武人が言った。

「おっす!
お疲れ様!」

私も機嫌良く答える。

「やっぱり天羽オーナーが居ないと生き生きしてるな。」

「うーん、まぁね。
でも、少し物足りないわよ。
天羽オーナーのわがままに慣れていた所だったから。」

私は笑ってそう言った。

「女は強いねぇ…」

武人。

強くなきゃ生きていけないわよ。
心の中でそう思った。

「あ、そう言えば…
明日の映画のチケット2枚あるんだけど、行かないか?」

「え?
武人、明日休みなの?」

「だから、誘ってるんだろ。
俺の担当客もさっきチェックアウトした所なんだよ。


武人が椅子に座りながら言う。

「何の映画?」

「"獅子は甘く初花を愛でる''ってやつ。
恋愛物かな。」

「あ、見たい!
明日午前中は美容室に行きたいから、午後からでも良い?」

私は尋ねる。

「いいよ。
じゃ、決まりだな。」

♦︎

翌日、私は美容室に行き、髪を整える程度に切ってもらった。

ブローでツヤサラになった髪をたなびかせて、武人との待ち合わせのカフェに向かった。
武人は先に店内に入っていた。

「お待たせ。」

「あぁ、いいよ。」

私はアイスカフェラテを注文し、武人はアイスコーヒーを頼んだ。

「そう言えばさ、この間天羽オーナーとリムジンで出かけてたろ?
どこ行ってたんだ?」

武人が尋ねる。

「うーん、お客様のプライバシーに関わるから、言えないかな。」

「そっか。
こ、こ、琴宮はさ、天羽オーナーの事どう思ってんの?」

「は…?」

思いもよらない質問をされ、私は聞き返した。

「いや、だってさ、ホテル王だし、外見も良いだろ?
身長も俺と同じくらいで…」

武人が言う。

「ないない!
お客様に対して恋愛感情は持たないの!
私のポリシーよ。」

武人も負けず劣らずイケメンだと思うのだが…
お客様にもたまに口説かれてるし…

「そっか!
そうだよな!」

何故か嬉しそうな武人。

後はたわいない話をして、私たちは映画館に向かった。
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