【完結】ホテル王の甘く過激なご要望
19 借りは返す
「天羽オーナー…!」
私は電話でも動揺していた。
「…どうした?琴宮?
何かあったのか?」
天羽オーナーはすぐに異変を察知してそう言った。
「い、いえ、大丈夫で…」
「言えよ。
この間の借りも返して無いんだ、俺は。」
天羽オーナーが優しくそう言った。
初めて聞く、天羽オーナーの穏やかな声だったかもしれない。
「実は…」
私は事情を説明する。
「ティファニーのネックレスの名称と型番を調べてくれ。
製氷店はこっちにあるから、ネックレスを埋め込んで、彫刻まで手配して、冷凍車でそっちに送る。
室内温度の設定はそっちに任せるが、もしも、ネックレスが予定の時間に溶け出さなかった場合に備えて、楽器演奏か歌で時間を引き延ばす手段も準備しておいてくれ。」
天羽オーナーは的確に指示を出した。
「わ、わ、分かりました!」
「琴宮、大丈夫だから、落ち着け。
どんな時もBe Coolに、だ。」
「…はい。」
そして、私はコンシェルジュルームにダッシュして、ネックレスの名称と型番を調べて天羽オーナーにLINEで送った。
それから、バイオリン演奏者の手配も一応しておいた。
そうして、氷のケーキを載せた冷凍車は19時10分のギリギリに到着し、結婚記念サプライズはなんとか上手く行ったのだった。
♦︎
私がクタクタで、私服に着替えて、ホテルから帰ろうとすると、天羽オーナーがリムジンでホテルに戻ってきた。
どうやら、出張は終わったみたいだ。
「サプライズは?」
天羽オーナーが私に尋ねる。
「大丈夫です。
上手くいきました。
全て天羽オーナーのおか…」
「いや、これはこの間の礼だ。
借りを作るのは嫌なんでな。
ちゃんと返したぞ?」
「確かに…
これで貸し借り無し、ですね?」
私は笑顔でそう言った。
「初めて見たな、アンタが笑ってるの…」
天羽オーナーが呟いた。
「え?」
「いや、何でもない。
上がりだろ?
気をつけて帰…
いや、送っていこう…」
そう天羽オーナーが言いかけたその時…!
「琴宮!」
「武人…!」
背後から、武人が私に声をかけた。
「彼女は俺が送るので、大丈夫ですよ。」
武人は私の前に立ちはだかって天羽オーナーにそう言った。
「って、言ってるけど、どうするんだ?琴宮?
コイツか俺か…」
天羽オーナーが何故か張り合ってそう言った。
「えーと…
でも、天羽オーナーはお疲れでしょうし…
武人もホテルに明日まで残った方がいいんじゃないかしら…?
それに、私1人で帰れますので!」
私は2人に頭を下げ、1人でバスに乗り込んだ。
その後2人がどうなったのかは、知らない。
私は電話でも動揺していた。
「…どうした?琴宮?
何かあったのか?」
天羽オーナーはすぐに異変を察知してそう言った。
「い、いえ、大丈夫で…」
「言えよ。
この間の借りも返して無いんだ、俺は。」
天羽オーナーが優しくそう言った。
初めて聞く、天羽オーナーの穏やかな声だったかもしれない。
「実は…」
私は事情を説明する。
「ティファニーのネックレスの名称と型番を調べてくれ。
製氷店はこっちにあるから、ネックレスを埋め込んで、彫刻まで手配して、冷凍車でそっちに送る。
室内温度の設定はそっちに任せるが、もしも、ネックレスが予定の時間に溶け出さなかった場合に備えて、楽器演奏か歌で時間を引き延ばす手段も準備しておいてくれ。」
天羽オーナーは的確に指示を出した。
「わ、わ、分かりました!」
「琴宮、大丈夫だから、落ち着け。
どんな時もBe Coolに、だ。」
「…はい。」
そして、私はコンシェルジュルームにダッシュして、ネックレスの名称と型番を調べて天羽オーナーにLINEで送った。
それから、バイオリン演奏者の手配も一応しておいた。
そうして、氷のケーキを載せた冷凍車は19時10分のギリギリに到着し、結婚記念サプライズはなんとか上手く行ったのだった。
♦︎
私がクタクタで、私服に着替えて、ホテルから帰ろうとすると、天羽オーナーがリムジンでホテルに戻ってきた。
どうやら、出張は終わったみたいだ。
「サプライズは?」
天羽オーナーが私に尋ねる。
「大丈夫です。
上手くいきました。
全て天羽オーナーのおか…」
「いや、これはこの間の礼だ。
借りを作るのは嫌なんでな。
ちゃんと返したぞ?」
「確かに…
これで貸し借り無し、ですね?」
私は笑顔でそう言った。
「初めて見たな、アンタが笑ってるの…」
天羽オーナーが呟いた。
「え?」
「いや、何でもない。
上がりだろ?
気をつけて帰…
いや、送っていこう…」
そう天羽オーナーが言いかけたその時…!
「琴宮!」
「武人…!」
背後から、武人が私に声をかけた。
「彼女は俺が送るので、大丈夫ですよ。」
武人は私の前に立ちはだかって天羽オーナーにそう言った。
「って、言ってるけど、どうするんだ?琴宮?
コイツか俺か…」
天羽オーナーが何故か張り合ってそう言った。
「えーと…
でも、天羽オーナーはお疲れでしょうし…
武人もホテルに明日まで残った方がいいんじゃないかしら…?
それに、私1人で帰れますので!」
私は2人に頭を下げ、1人でバスに乗り込んだ。
その後2人がどうなったのかは、知らない。