【完結】ホテル王の甘く過激なご要望

26 DVD見よう!

まずは、『ミステリーは恋の始まり』から始まったようである。

「あ、この俳優さんかっこいいですよねぇー」

私は探偵役の俳優を指差して言う。

「こ、こ、琴宮はあぁゆうのがタイプなのか?」

と、天羽オーナーが尋ねるので。

「いや、タイプって言うか…
単純にカッコいいですよね。」

私はそう答えた。

「…俺よりも?」

天羽オーナーが少し拗ねた様子で言う。
何だか知らないが、テレビ画面の中の俳優さんにライバル心を燃やしているようだ。

「うーん…
そこは好みの問題になるんじゃないですかね?」

私は無難に返す。

「俺は琴宮の好みを聞いてるんだよ…!」

「えぇ!?
うーん、そうですね、どちらもカッコいいと思いますよ。
ちょっと天羽オーナー黙っててくれません?
ミステリーがちっとも頭に入って来ないじゃ無いですか!」

私は言う。

「わ、わ、悪い。」

しょぼんとする天羽オーナー。
だいぶ反省はしているようである。

「私あの女の人が怪しいと思うんですよねぇ…」

「ばか、左から3番目の男が犯人だろ。」

「どうしてそう思うんですか?」

「1番意外な奴が犯人だって、相場は決まってるんだからだよ。」

そんなこんなで、犯人当てをしながら物語は進んでいき、真犯人は2人とも見事にハズレた。

「全然違うじゃないですか。」

私。

「お前だって外したじゃんか!」

ムキになる天羽オーナー。

「まぁまぁ、次のDVD見ましょうよ。」

私は言う。

「あぁ、次は怖いぞ。
俺にしがみつくなよー?」

天羽オーナー。

残念ながら、ホラー系は大丈夫なんですよね、私。
心の中でそう思った。

始まって数分後…

天羽オーナーは私にしがみついていた。

「ヒィィィィィ!
千子が来るぅぅぅ!」

「天羽オーナー、あれはフィクションですよ!」

「こ、こ、琴宮、俺を守ってくれ!
いや、違う、俺がお前を守ってやる!だ!」

天羽オーナーはそう言いながら、私の肩にしがみつく。

いや、この状態で"守ってやる!"とか言われても…
完全に私が守ってるよね?

「あぁ!
そんな深追いするなよ!
千子が来るだろ!」

天羽オーナーは見たいのか、見たく無いのか、私の肩からちょこちょこテレビ画面を見ている。

結局、天羽オーナーは怖がりまくり、ずっと私にしがみついていた。

「な、な、なんだ!
大した事無かったな!
見ろ!
俺が居れば大丈夫なんだ!」

モテ男のデートテクニック!に載っているセリフだろうか?
とても、怖がりまくった人のセリフとは思えない。

「はいはい、頼もしかったですよー。」

棒読みで言う私。

だが、ほんの少しだけ天羽オーナーを可愛いと思ってしまったのは…
今は言わないでおこうかな…?ふふ…
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