【完結】ホテル王の甘く過激なご要望

28 悪魔と天使

最近の私は訳が分からない。

天羽オーナーに、俺の女になれ、と言われたり、武人に、ずっと好きだった、とか言われるし…

いや、武人のそれが、天羽オーナーとは違って真剣な告白なのは分かっている。
だけど、武人と付き合うなんて…

近所のお兄ちゃんと付き合うみたいで…
いや、お兄ちゃんじゃないんだけど…

それくらいピンと来なかったのだ…

でも、でもよ?
私なんて、彼氏居ない歴7年くらいだし、付き合ってみても良いんじゃない?(悪魔の囁き)

でも、でもよ?
そんないい加減な考えで付き合って、武人に失礼じゃない?きちんと断るべきよ。(天使の囁き)

そんな天使と悪魔の囁きが聞こえてくる。

その両方に耳を傾けつつも、あの時の武人の告白を振り返った。

その時、私の脳裏には天羽オーナーがよぎった。
何故だろうか…?
天羽オーナーに呪いでもかけられているのか…?
天羽オーナーに振り回されすぎて、自動的に出てくるようになっているのか…?

よく理由は分からない。

そして、私が"ごめんなさい…"と小さく言った後、武人はさらにこう言った。

「諦めないよ、俺。
それくらい琴宮の事が好きだから。
だから、1%でも望みがあるなら、俺のこと真剣に考えてほしい。」

と…

どうすれば良いのか?
そりゃあ、武人はかっこいいし、1%どころでは無い。
20%くらいはあるかもしれない。

でも、それは長年彼氏が居なかったせいもあるのかな?
悪魔の囁きに負けそうな気持ちに、天使を駆り出してくる。

ダメよ、茉莉(まつり)
あなたは真剣に好きになった人と付き合うべきよ!

でも、真剣に好きになる事なんてあるのかな?
もう、7年間彼氏居ないし、人を好きになる方法を忘れてしまったような気がする…

その日、訳が分からなくなって、私は布団をひっかぶって眠った。
考えてても、無限ループである。

♦︎

翌日、休みだったので、波多野裕子(はたのゆうこ)という友人と会う事にした。

裕子はアパレルで働いていて、大学時代からの親友である。
色々と相談に乗ってくれる頼もしい友達だ。

渋谷のカフェで待ち合わせして、女子トークに花を咲かせるのだ。
年齢的に女子とは言わないかもしれないが。

裕子は、私と同い年32歳だが、同じく独身だ。

ただ一つ違うのは、彼女はモテるのに、あえて独身を選んでいると言う事。
つまり、取っ替え引っ替えだ。

天羽オーナーと話が合うんじゃなかろうか?
裕子と天羽オーナーが仲良く話してる所を想像すると、なぜかちょっとイラッとした。

そんな妄想から現実に戻ると、ちょうど裕子がやってきた。
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