【完結】ホテル王の甘く過激なご要望

38 二回戦の結果

その夜、武人は全国のコンシェルジュに電話をかけ続けていた。
武人の全国のコンシェルジュ達との繋がりはかなりの規模である。
そこで、全国のコンシェルジュ達に依頼してオメガの時計を集めよう、という作戦らしい。

まぁ、妥当な所である。

だが、天羽オーナーはオープンロイヤルスイートルームにも、コンシェルジュルームにも居ない。
一体どこに行ったのだろうか…?

そんなこんなで夜も更けていき、私は自宅に帰った。

♦︎

翌日、朝コンシェルジュルームに出勤すると、まだ武人は電話をかけ続けていた。

「あと、10個なんだ!
何とかならないか!?」

どうやら、あと10個ほどオメガの腕時計が足りないらしい。

そうして、アメリカのお客様が帰国の1時間前になり、武人は頭を下げて言った。

『お客様、申し訳ございません。
あと、5つオメガの腕時計が足りないのです。
私の力不足です。
本当にすいません…』

『ふむ…
このホテルならば、と思っていたが…
やはり無理だったか…
従業員の5人だけに配らない事はできない。
残念だが、このオメガは…』

そう言ったその時、部屋の扉が開かれ、オメガ100個がガラスケースに入れられ、部屋に次々と搬入された。

「天羽オーナー!」

私は驚いた。

天羽オーナーがオメガ100個を取り揃えて帰ってきたのだ。
どこからか分からないが…

『お客様、確かにオメガの腕時計100個でございます。
こちらは、国際貨物便に乗せるように手配しておりますので、運搬車にすぐに運び込まれる予定です。
今のうちに間違い無いか、ご覧ください。』

天羽オーナーは完璧な英語でお客様にそう言った。

『アンビリーバボー!
素晴らしい!
貨物便の手配までしてくれるとは!

いやぁ、このホテルのコンシェルジュはエクセレントだ!』

お客様は手を叩いて天羽オーナーを褒めた。

この勝負、天羽オーナーに軍配が上がったようだ。

しかし…
どうやって、オメガ100個を集めたのだろうか…?

お客様が帰られた後、天羽オーナーに尋ねると…

「簡単さ。
プライベートジェットでスイスまで飛んで、現地のオメガから100個受け取ったのさ。
日本には無くてもスイスにはあるからな。

悪いな、久遠。
この勝負は俺が貰ったぞ。」

ドヤ顔で言う天羽オーナー。

「くっ…
まぁまぁやるようだな…

しかし、俺はまだ負けた訳じゃ無い。

最後の勝負、必ず勝ってみせる…!」

武人は言い、モダンロイヤルスイートルームを後にした。

「ふぁぁあ、寝るか。」

「お疲れ様です、天羽オーナー。」

「一緒に寝る?琴宮。」

「寝ませんっ!(怒」

こうして、天羽オーナーの勝利で2回戦が終わったのだった。
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