【完結】ホテル王の甘く過激なご要望
第4章 スキナノニ
41 気付き
side天羽萬里
3回戦のコンシェルジュ対決をして…
俺は気づいた…
琴宮が好きだと…
久遠が1回戦を制した時、俺は悔しかったが、それ以上に焦っていた。
このままじゃ、琴宮を取られると…
コンシェルジュの心得を俺に話す琴宮を、俺は抱きしめて、オープンロイヤルスイートに閉じ込めてしまおうかと思った。
それくらい彼女に惹かれていたのを、その時気づき始めた。
ホテル王のこの俺が、1回戦でゴミ箱を漁り、2回戦では、プライベートジェットまで飛ばして、往復20時間もかけてスイスまでオメガの腕時計を取りに行った。
馬鹿馬鹿しいとも思った。
だけど、真剣な琴宮の応援が、クソ真面目な久遠の顔が、俺の脳裏を過ぎった。
ここで、何の苦労も無く負けてしまったら、きっともう琴宮は帰ってこない。
そう、分かっていたんだ。
だから、最善を尽くそうと思ったし、カッコつけてなどいられなかった。
最終戦。
半分ボケたような爺さんが、名前も場所もわからないレストランを探してくれ、と言ってきた。
普段の俺なら、ボケたジジイは病院に行け!と暴言を吐いているかも…?しれない。
案の定、どの雑誌に掲載されたか、電話番号はもちろん、外観さえも忘れているとジジイは言った。
それじゃ、探しようが無いだろ!ぼけ!
と、心の中で思ったが、琴宮の言葉を思い出した。
"どんな無茶なご要望にもイエスで応える"
俺は粘った。
なにか、なにか、覚えてる事は無いですか?と。
爺さんは財布の中から古びた写真を出した。
それはレストランの窓から外を撮った物だった。
これはイケる!
そう思った。
俺は写真に写った愛月タワーの側面から大体の方角を探り出し、その方角にある全てのレストランに向かい、窓から写真を撮らせてもらった。
何個かの店には、2、3度足を運んだため、またあんたか…
と、嫌な顔をされた事もあった。
でも、俺はその場所のレストランを足を棒にして周り続けた。
勝ちたかった。
何としても。
あの琴宮の笑顔を、俺はどうしても独り占めしたかったんだ。
そして、そう思った最終戦で、俺は気づいた。
「俺は…
琴宮の事が…
好き…?
なのか…?」
受け入れるのに、1時間はかかった。
俺はレストランの周りをぐるぐると回り、考えた。
だけど、何度考えても、その事実は変わらなかった。
いや、変える気など無かったのかもしれない。
そして、俺はレストランを発見した。
琴宮…
俺、やったぞ…!
琴宮は喜んでくれるだろうか?
とにかく彼女にレストランを見つけた事を伝えたい気持ちを押し殺し、俺は棒になった足を抱えてリムジンに乗り込んだ。
足は限界だったが、心は軽かった。
3回戦のコンシェルジュ対決をして…
俺は気づいた…
琴宮が好きだと…
久遠が1回戦を制した時、俺は悔しかったが、それ以上に焦っていた。
このままじゃ、琴宮を取られると…
コンシェルジュの心得を俺に話す琴宮を、俺は抱きしめて、オープンロイヤルスイートに閉じ込めてしまおうかと思った。
それくらい彼女に惹かれていたのを、その時気づき始めた。
ホテル王のこの俺が、1回戦でゴミ箱を漁り、2回戦では、プライベートジェットまで飛ばして、往復20時間もかけてスイスまでオメガの腕時計を取りに行った。
馬鹿馬鹿しいとも思った。
だけど、真剣な琴宮の応援が、クソ真面目な久遠の顔が、俺の脳裏を過ぎった。
ここで、何の苦労も無く負けてしまったら、きっともう琴宮は帰ってこない。
そう、分かっていたんだ。
だから、最善を尽くそうと思ったし、カッコつけてなどいられなかった。
最終戦。
半分ボケたような爺さんが、名前も場所もわからないレストランを探してくれ、と言ってきた。
普段の俺なら、ボケたジジイは病院に行け!と暴言を吐いているかも…?しれない。
案の定、どの雑誌に掲載されたか、電話番号はもちろん、外観さえも忘れているとジジイは言った。
それじゃ、探しようが無いだろ!ぼけ!
と、心の中で思ったが、琴宮の言葉を思い出した。
"どんな無茶なご要望にもイエスで応える"
俺は粘った。
なにか、なにか、覚えてる事は無いですか?と。
爺さんは財布の中から古びた写真を出した。
それはレストランの窓から外を撮った物だった。
これはイケる!
そう思った。
俺は写真に写った愛月タワーの側面から大体の方角を探り出し、その方角にある全てのレストランに向かい、窓から写真を撮らせてもらった。
何個かの店には、2、3度足を運んだため、またあんたか…
と、嫌な顔をされた事もあった。
でも、俺はその場所のレストランを足を棒にして周り続けた。
勝ちたかった。
何としても。
あの琴宮の笑顔を、俺はどうしても独り占めしたかったんだ。
そして、そう思った最終戦で、俺は気づいた。
「俺は…
琴宮の事が…
好き…?
なのか…?」
受け入れるのに、1時間はかかった。
俺はレストランの周りをぐるぐると回り、考えた。
だけど、何度考えても、その事実は変わらなかった。
いや、変える気など無かったのかもしれない。
そして、俺はレストランを発見した。
琴宮…
俺、やったぞ…!
琴宮は喜んでくれるだろうか?
とにかく彼女にレストランを見つけた事を伝えたい気持ちを押し殺し、俺は棒になった足を抱えてリムジンに乗り込んだ。
足は限界だったが、心は軽かった。