【完結】ホテル王の甘く過激なご要望
51 意外な結末
side天羽萬里
向日葵の花を見て。
「いやぁ!
綺麗だなぁ!」
俺は情緒のある男を熱演する。
「まだ、咲いてませんけど…」
琴宮が冷静にそう言った。
そう、どこを見ても向日葵なんて咲いてやしねー!
「お前には情緒がねーのか!」
「咲いてないのに、情緒って何なんです!?」
俺たちは結局、向日葵も咲いてないので、湖の鯉に餌をあげる事にした。
「あ、コイツ食い意地悪ぃな。
鯉版琴宮か…」
「誰が私ですか!
あ、あの鯉不細工ですね。
鯉版天羽オーナー…」
「なんだと!?
俺は自慢じゃないけど、顔だけで生きてきたんだぞ!!!」
俺はついケンカモードになる。
「本当に自慢出来ることじゃありませんね!」
「何の自慢もねーやつに言われたくねーよ!」
琴宮も言い返すので、売り言葉に買い言葉だ。
超険悪のまま、芝生の上に座った。
風や日差しも心地よく、5月って感じだ。
すると、琴宮が缶コーヒーを俺の頬に当てた。
「の、の、飲みます…?」
「あぁ…
ありがとう…」
そうだ、コレだよ…!
俺はモテ男のデートテクニック!を読んで間に受けてた自分が恥ずかしくなった。
あの本も長い付き合いだったけど、もう要らないのかもしれない…
俺たちは新緑に囲まれながら、缶コーヒーを飲んだ。
本場のコーヒーしか飲まない俺にはひどく不味かったが、それも悪くないと思った。
「なぁ?」
「はい?」
「お前、俺のことどう思ってんの…?」
俺は…
ただの担当客なのか?
ただの上司なのか?
「…正直…
よく分かりません…
側に居たいって思う時もあるし、はらわた煮えくりかえるくらい憎たらしい時もあるし…
大切なお客様だから、側に居たいって思うのか…?
上司だから、一緒に居るのか…?
よく分からないんです。」
琴宮は真剣な眼差しでそう言った。
だけど…
側に居たい、か…
うん、悪くないや。
今はそれだけで…
でも…
「なぁ、キスしないか?」
「え…?」
「で、で、でも…」
「俺に少しでも希望があるなら…
形にしたいんだ…」
俺は芝生の上の琴宮の手に手を重ね、そっと口づけした。
舌入りの激しいチューじゃねーし、エロくも無かったけど、俺の心は満たされていた。
帰り道。
「オーナー?」
「なに?」
俺たちは手を繋いで公園から帰っていた。
「モテ男のデートテクニック!…
捨てた方が良いと思います…よ…?」
「今日捨てるよ。
俺にはもう必要無いからさ。」
「そうですか…」
琴宮はただそう言ってにっこりと微笑んでいた。
こうして、向日葵のピクニックは意外な結末で終わったのだった。
向日葵の花を見て。
「いやぁ!
綺麗だなぁ!」
俺は情緒のある男を熱演する。
「まだ、咲いてませんけど…」
琴宮が冷静にそう言った。
そう、どこを見ても向日葵なんて咲いてやしねー!
「お前には情緒がねーのか!」
「咲いてないのに、情緒って何なんです!?」
俺たちは結局、向日葵も咲いてないので、湖の鯉に餌をあげる事にした。
「あ、コイツ食い意地悪ぃな。
鯉版琴宮か…」
「誰が私ですか!
あ、あの鯉不細工ですね。
鯉版天羽オーナー…」
「なんだと!?
俺は自慢じゃないけど、顔だけで生きてきたんだぞ!!!」
俺はついケンカモードになる。
「本当に自慢出来ることじゃありませんね!」
「何の自慢もねーやつに言われたくねーよ!」
琴宮も言い返すので、売り言葉に買い言葉だ。
超険悪のまま、芝生の上に座った。
風や日差しも心地よく、5月って感じだ。
すると、琴宮が缶コーヒーを俺の頬に当てた。
「の、の、飲みます…?」
「あぁ…
ありがとう…」
そうだ、コレだよ…!
俺はモテ男のデートテクニック!を読んで間に受けてた自分が恥ずかしくなった。
あの本も長い付き合いだったけど、もう要らないのかもしれない…
俺たちは新緑に囲まれながら、缶コーヒーを飲んだ。
本場のコーヒーしか飲まない俺にはひどく不味かったが、それも悪くないと思った。
「なぁ?」
「はい?」
「お前、俺のことどう思ってんの…?」
俺は…
ただの担当客なのか?
ただの上司なのか?
「…正直…
よく分かりません…
側に居たいって思う時もあるし、はらわた煮えくりかえるくらい憎たらしい時もあるし…
大切なお客様だから、側に居たいって思うのか…?
上司だから、一緒に居るのか…?
よく分からないんです。」
琴宮は真剣な眼差しでそう言った。
だけど…
側に居たい、か…
うん、悪くないや。
今はそれだけで…
でも…
「なぁ、キスしないか?」
「え…?」
「で、で、でも…」
「俺に少しでも希望があるなら…
形にしたいんだ…」
俺は芝生の上の琴宮の手に手を重ね、そっと口づけした。
舌入りの激しいチューじゃねーし、エロくも無かったけど、俺の心は満たされていた。
帰り道。
「オーナー?」
「なに?」
俺たちは手を繋いで公園から帰っていた。
「モテ男のデートテクニック!…
捨てた方が良いと思います…よ…?」
「今日捨てるよ。
俺にはもう必要無いからさ。」
「そうですか…」
琴宮はただそう言ってにっこりと微笑んでいた。
こうして、向日葵のピクニックは意外な結末で終わったのだった。