【完結】ホテル王の甘く過激なご要望
第5章 スキナノカ?

52 天使か悪魔

私は、その日ゴホゴホと咳の出る中仕事をしていた。
午前中に仕上げておきたい書類があるのだ、弱音は吐いていられない。

「大丈夫か?
琴宮?
これ、龍角散。」

武人が心配して、龍角散のど飴をくれた。

「ありがとう、ごほっ!
武人…ごほっ!」

私がお礼を言うと、武人は「無理するなよ」と言い仕事に向かった。

なんて良い人なんだ…
あぁいう人を彼氏にしたら、きっと天国が待っているに違いない。

一方で…
天羽オーナーを彼氏にしたら?

多分、すごい地獄が待っているに違いない…

それは分かっている。

天羽オーナー

わがまま
俺様
気遣い0
変態
ケダモノ

武人

優しい
思いやりある
気遣い◎
紳士
ノーマル(多分)

こうして、羅列して比べてみるだけでも、どちらを彼氏にしたらいいか?一目瞭然ではないか。

だけど…

私は、どうやら地獄に行きたいみたいで…

【天使】
ばかばかばか!
地獄なんて行ってどうするの!?
天国への切符があるのに、馬鹿げてるわ! 

【悪魔】
へっへっへっ!
ようこそ、地獄へ!
天国じゃちょっと味わえないスリリングな快感が待ってるぜ!
天国への切符なんて破り捨てちまいな!
 

天使と悪魔が同時に囁いてくる。

どっちの意見もまぁ納得というか…

って、ばかばかばか!
天国で天使の方が良いに決まってる!

武人なら、モテ男のデートテクニック!なんて馬鹿な本見ないし。

でも、あの本面白かったな…
天羽オーナーとちょっとした漫才みたいになってて…

って、ばかばかばか!

だーかーらー!
そっちに行っちゃダメだって!

そもそも!
【私は、天羽オーナーを好きなのか…?】

そこだ!
論点は!

私は咳で侵された頭の中を整理する。

うーん…
正直、よく分からない。

側に居たいって思う時もあるし、今日だって…
なんだかんだで、天羽オーナーからの電話を待っている自分が居る。

それは…
"好き"だからなの?
それとも…

ぁぁぁあ!
余計に分かんなくなってきた!

そう思って頭を抱えた時、オープンロイヤルスイートルームから電話がかかってきた。
天羽オーナーだ。

『すぐ来い。』

だーかーらー!
お前はそれしか言えんのかー!!!

私は頭にきながらも、オープンロイヤルスイートに向かった。

「天羽…オーナー…ゴホゴホっ!
琴宮で…ごほっ!」

私は咳混じりの挨拶をして、部屋に入った。

途端に、バタリと倒れた。

「こ、こ、琴宮!!!
大丈夫か!??!?」

天羽オーナーの焦った声が遠くに聞こえた。

【?】
そうそう、いつもそのくらい慌てたり、焦ったりしてたら、可愛いのにね。

そんな天使か悪魔の声も聞こえた。
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