花と共に、あなたの隣で。
プロローグ
拝啓 まだ見ぬ『誰か』様へ
突然ですが、あなたは“死”を考えたことがありますか。
家族でも、親戚でも、友達でも、遠い知り合いでも。誰でも良いのですが、“死”について話し合ったことがありますか。突然の重たい話でごめんなさい。でも、どうしてもそれだけをあなたに確認したかったのです。
私はこれから高校の入学式に参加します。
病院の先生は言いました。私がこの学校を卒業できる確率は10%未満だと。
それがどういうことなのかは、もし私が“確率10%”に打ち勝てたらお話してみようと思います。その頃にはきっと、笑い話となっているはずです。
だけど、ここまで書いて気が付きました。
今あなたがこの手紙を読んでいるってことは、もう“私はこの世に居ないってこと”ですよね。何が“打ち勝てたら”、でしょうか。私ったら、おっちょこちょいです。
それでは短い駄文ではありますが、この辺で筆を止めます。
この手紙に気付いて読んでくれた、まだ見ぬ『誰か』様。
ここまで読んで頂き、誠にありがとうございました。
ここに辿り着いたのが『誰』なのか、今の私には見当も付きませんが
最期に1つだけ、教えて下さい。
高校入学時に決めた“私の選択”は、正解だったでしょうか?
20××年4月7日
15歳4か月 森野 未来
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