花と共に、あなたの隣で。
3.体育館横の紫陽花
今日もまた、雨が降っている。梅雨入りを知らせるニュース番組を見てから、毎日律儀に雨が降っている。梅雨の中休みにはまだ程遠いのか。ザーザーとアスファルトを濡らし続ける雨は、不思議と私の心までどんよりさせる。
席替えで真ん中から窓際の席になった。教室棟からは体育館の出入り口と体育教官室が丸見えで、ニコニコと体育教師が並んで歩く様子が良く見える。
あの人も例外ではない。
「はい。では予告通り、今月末にあるクラスマッチの種目分けをします」
現在は6限目のロングホームルーム。担任は声高らかにそう言い放って、黒板に白いチョークで種目名を書いていく。『ドッヂボール』『卓球』『バスケットボール』『リバーシブル』そして、クラス全員参加の『大縄跳び』。まるで私への嫌がらせかのような文字の羅列に、思わず頭を抱えてしまう。
4種目から必ず選ばなければならないのならば、どう考えても私は『リバーシブル』一択だ。そう思い立候補するも、思っていた以上に希望者が居た。定員10名に対し、15名の立候補。この時点でもう、嫌な予感しかしない。
「『リバーシブル』は人気ですね。ジャンケンでもしますか」
呑気な担任に対し、闘志剥き出しの同級生。15人によるジャンケン大会が急遽開幕し、出場権の奪い合いだ。実は私、運動は苦手だが、ジャンケンも苦手。なかなか勝てた試しが無い為、何となく予想はしていたが……案の定、ジャンケン大会敗退。『リバーシブル』出場権は他の人の元へ行ってしまい、私はなんと1番出場してはならないであろう、『ドッヂボール』への参加で決定してしまった。