早河シリーズ序章【白昼夢】
8月6日の夜。キングから間宮殺害の実行命令が下された。間宮殺害の実行犯は佐藤瞬。
あかり達がペンションに宿泊する数日前より、客を装った組織の人間達が事前に仕掛けた盗聴器のおかげでペンション内部の様子はほぼ把握できた。
書斎に仕掛けた盗聴器を通して漏れ聞こえた会話から、佐藤と美月が惹かれ合っていると直感した。
美月を人質にすれば、佐藤は必ず間宮の殺害を実行すると確信があった。美月を連れ去り、眠り姫の演出を加えたことも佐藤に圧力をかけるためだ。
間宮の殺害決行は日付が7日に変わる24時。それまでに間宮に睡眠薬を飲ませて眠らせておくことがあかりの役目だった。
佐藤が殺害を実行しやすいよう夕食の支度を手伝うフリをして、6日の上野警部の夕食にだけ睡眠薬を仕込んだ。上野のビーフシチューを皿に盛ったのはあかりだ。
上野の就寝を確認したあかりは22時半頃に間宮の部屋を訪れる。間宮はあかりだけは殺人事件の犯人ではないと思い込んでいた。
それは竹本が殺された8月4日の夜、あかりは間宮と一晩一緒に過ごしていたから。
4日の嵐の夜。あかりは22時に渡辺の部屋を出て一度自室に戻った。シャワーを浴びて渡辺に抱かれた痕跡を洗い流した後、一階の間宮の部屋に向かった。
本当はあのまま渡辺の部屋で朝まで彼と一緒に居たかった。しかし間宮にメールで呼び出され、あかりは間宮の部屋で一夜を過ごした。
結果的に、それがあかりにとって都合の良い展開に運んだ。連続殺人事件の場合、第一の殺人でアリバイのある者は必然的に第二の殺人でも容疑者から除外される。
推理小説家の間宮なら尚更そう考える。
第一の殺人、竹本晴也殺しの犯行時刻と考えられた23時から深夜3時頃には間宮とあかりは一緒にいた。就寝は深夜2時頃。
つまり二人ともにアリバイがあり、間宮があかりを警戒する理由はどこにもないのだ。
8月6日の夜に話は向かう。
あかりを出迎えた間宮は今夜もあかりを玩具にして楽しむ予定だったのだろう。間宮の身体に自分のDNAが含まれた体液が付着しては困ると考えたあかりは、間宮の誘いを上手くかわして彼にコーヒーを飲むよう誘導した。
コーヒーを飲んだ後にゆっくり楽しもう、あの悪魔はそれだけで嬉々として、何の疑いもなくあかりが淹れた即効性の睡眠薬入りのコーヒーを飲んで眠りについた。
この後に殺されるとも知らず、これが永眠になるとも思わずに。
睡眠薬入りのコーヒーを片付け、間宮の携帯に残る自分と間宮の関係を示唆する内容のメールをすべて削除した。部屋の鍵を開けたままにして自室に戻った時には23時を過ぎていた。
あかり達がペンションに宿泊する数日前より、客を装った組織の人間達が事前に仕掛けた盗聴器のおかげでペンション内部の様子はほぼ把握できた。
書斎に仕掛けた盗聴器を通して漏れ聞こえた会話から、佐藤と美月が惹かれ合っていると直感した。
美月を人質にすれば、佐藤は必ず間宮の殺害を実行すると確信があった。美月を連れ去り、眠り姫の演出を加えたことも佐藤に圧力をかけるためだ。
間宮の殺害決行は日付が7日に変わる24時。それまでに間宮に睡眠薬を飲ませて眠らせておくことがあかりの役目だった。
佐藤が殺害を実行しやすいよう夕食の支度を手伝うフリをして、6日の上野警部の夕食にだけ睡眠薬を仕込んだ。上野のビーフシチューを皿に盛ったのはあかりだ。
上野の就寝を確認したあかりは22時半頃に間宮の部屋を訪れる。間宮はあかりだけは殺人事件の犯人ではないと思い込んでいた。
それは竹本が殺された8月4日の夜、あかりは間宮と一晩一緒に過ごしていたから。
4日の嵐の夜。あかりは22時に渡辺の部屋を出て一度自室に戻った。シャワーを浴びて渡辺に抱かれた痕跡を洗い流した後、一階の間宮の部屋に向かった。
本当はあのまま渡辺の部屋で朝まで彼と一緒に居たかった。しかし間宮にメールで呼び出され、あかりは間宮の部屋で一夜を過ごした。
結果的に、それがあかりにとって都合の良い展開に運んだ。連続殺人事件の場合、第一の殺人でアリバイのある者は必然的に第二の殺人でも容疑者から除外される。
推理小説家の間宮なら尚更そう考える。
第一の殺人、竹本晴也殺しの犯行時刻と考えられた23時から深夜3時頃には間宮とあかりは一緒にいた。就寝は深夜2時頃。
つまり二人ともにアリバイがあり、間宮があかりを警戒する理由はどこにもないのだ。
8月6日の夜に話は向かう。
あかりを出迎えた間宮は今夜もあかりを玩具にして楽しむ予定だったのだろう。間宮の身体に自分のDNAが含まれた体液が付着しては困ると考えたあかりは、間宮の誘いを上手くかわして彼にコーヒーを飲むよう誘導した。
コーヒーを飲んだ後にゆっくり楽しもう、あの悪魔はそれだけで嬉々として、何の疑いもなくあかりが淹れた即効性の睡眠薬入りのコーヒーを飲んで眠りについた。
この後に殺されるとも知らず、これが永眠になるとも思わずに。
睡眠薬入りのコーヒーを片付け、間宮の携帯に残る自分と間宮の関係を示唆する内容のメールをすべて削除した。部屋の鍵を開けたままにして自室に戻った時には23時を過ぎていた。