早河シリーズ序章【白昼夢】
ざわつく教室。見慣れている風景。見慣れているクラスメイトや先生の顔。
長い夏休みも終わり始業式の日がやって来た。今日からまた学校が始まる。
9月下旬の体育祭、11月の文化祭、進路指導、12月の三者面談……秋から冬にかけての学校の日程表が配られた。
ここが私の日常、十七歳の現実。
クラスメイト達は夏休み前と何も変わらないように見えた。日に焼けた子、髪の毛が短くなってる子、見た目の変化はあっても何も変わっていない。
私だって何も変わっていないと思ってた。苦手だった数学が前より少しだけ、苦手じゃなくなっていること以外は……。
夏休みの課題の提出の時、あの人の痕跡を見つけた。数学の問題集とノートの隅に書かれた私以外の人の筆跡。
佐藤さんが書いた数式だ。
消しゴムで消そうと思えば簡単に消せるのに、どうしても消せなくて、佐藤さんの痕跡が残るページを静かに閉じて提出した。
長い夏休みも終わり始業式の日がやって来た。今日からまた学校が始まる。
9月下旬の体育祭、11月の文化祭、進路指導、12月の三者面談……秋から冬にかけての学校の日程表が配られた。
ここが私の日常、十七歳の現実。
クラスメイト達は夏休み前と何も変わらないように見えた。日に焼けた子、髪の毛が短くなってる子、見た目の変化はあっても何も変わっていない。
私だって何も変わっていないと思ってた。苦手だった数学が前より少しだけ、苦手じゃなくなっていること以外は……。
夏休みの課題の提出の時、あの人の痕跡を見つけた。数学の問題集とノートの隅に書かれた私以外の人の筆跡。
佐藤さんが書いた数式だ。
消しゴムで消そうと思えば簡単に消せるのに、どうしても消せなくて、佐藤さんの痕跡が残るページを静かに閉じて提出した。