早河シリーズ序章【白昼夢】スピンオフ
高校卒業後、美空と結婚した龍牙は弁護士の道を、香道は警察官の道を選び今に至る。
『あのリュウが今じゃ娘をベッタベタに溺愛する父親だもんなぁ。ヤンチャしてた高校時代からは考えられねぇよ』
『いや、アキにだけは溺愛って言葉は言われたくねぇな。なぎさは元気してる?』
香道には10歳下の妹のなぎさがいる。ちょうど晴や蒼汰と同い年の高校三年生だ。
『なぎさは元気だけが取り柄だからな。もうすぐ夏休みだって浮かれてる』
『たまには、なぎさの顔を見にお前の家にでも遊びに行くか』
『言っておくけど、なぎさに手を出すなよ? ただでさえなぎさの初恋は龍牙なんだ。小学生の時にリュウくんと結婚するーって言ってたアイツはいまでもお前に対してはミーハーって言うかファン根性が抜けないって言うか……』
『黙れシスコン。早いとこ妹離れしねぇと、いつかなぎさが嫁にいくとき大変だぞ』
妹のことになると香道は嬉しそうに延々と妹の話を始める。彼は重度のシスコンだと龍牙は常々思っている。
歳が離れているせいか、妹が可愛くて仕方ないらしい。香道は暴走族に入っていた過去をなぎさには隠している。
当時は小学生だったなぎさは兄の少しだけ悪ぶっていた過去を覚えてもいない。
事件の現状報告と世間話を少しして、龍牙と香道は新宿西警察署の玄関口の前で立ち止まる。守衛の警官が香道に敬礼した。
『他の刑事達は蒼汰のことを不良だからクスリをやってるに決まってるって最初から決めつけていたけど、ひとりだけ面白い奴がいたよ』
『面白い奴?』
『新宿西署の刑事課の奴。名前は……早河って言ったかな。そいつだけが蒼汰の話を熱心に聞いて、蒼汰を釈放するよう上司に進言していた』
『警察もまだまだ捨てたものじゃないってことだな』
『蒼汰の無実を信じたのは俺と早河だけだが、そう思いたいね。早河って奴は見た目は冷めた風を装ってるけど中身は熱い。また一緒に仕事してみたいと思える刑事だったな』
思わぬところでの良き出会いを語る香道の表情は生き生きとしていた。
『あのリュウが今じゃ娘をベッタベタに溺愛する父親だもんなぁ。ヤンチャしてた高校時代からは考えられねぇよ』
『いや、アキにだけは溺愛って言葉は言われたくねぇな。なぎさは元気してる?』
香道には10歳下の妹のなぎさがいる。ちょうど晴や蒼汰と同い年の高校三年生だ。
『なぎさは元気だけが取り柄だからな。もうすぐ夏休みだって浮かれてる』
『たまには、なぎさの顔を見にお前の家にでも遊びに行くか』
『言っておくけど、なぎさに手を出すなよ? ただでさえなぎさの初恋は龍牙なんだ。小学生の時にリュウくんと結婚するーって言ってたアイツはいまでもお前に対してはミーハーって言うかファン根性が抜けないって言うか……』
『黙れシスコン。早いとこ妹離れしねぇと、いつかなぎさが嫁にいくとき大変だぞ』
妹のことになると香道は嬉しそうに延々と妹の話を始める。彼は重度のシスコンだと龍牙は常々思っている。
歳が離れているせいか、妹が可愛くて仕方ないらしい。香道は暴走族に入っていた過去をなぎさには隠している。
当時は小学生だったなぎさは兄の少しだけ悪ぶっていた過去を覚えてもいない。
事件の現状報告と世間話を少しして、龍牙と香道は新宿西警察署の玄関口の前で立ち止まる。守衛の警官が香道に敬礼した。
『他の刑事達は蒼汰のことを不良だからクスリをやってるに決まってるって最初から決めつけていたけど、ひとりだけ面白い奴がいたよ』
『面白い奴?』
『新宿西署の刑事課の奴。名前は……早河って言ったかな。そいつだけが蒼汰の話を熱心に聞いて、蒼汰を釈放するよう上司に進言していた』
『警察もまだまだ捨てたものじゃないってことだな』
『蒼汰の無実を信じたのは俺と早河だけだが、そう思いたいね。早河って奴は見た目は冷めた風を装ってるけど中身は熱い。また一緒に仕事してみたいと思える刑事だったな』
思わぬところでの良き出会いを語る香道の表情は生き生きとしていた。