早河シリーズ序章【白昼夢】スピンオフ
9.陰謀の夜
都心の一等地に建つ高層マンションの最上階。男は黒色のソファーに体を沈めて目の前の大きな窓に広がる東京の夜景を眺めている。
{奴らが溜まり場にしている場所がわかりました。西新宿のシックザール。ヴィンテージの楽器屋です}
『楽器屋……そうか。四人のうち二人はバンドをやっているんだったな』
携帯電話から聞こえる報告に彼はシルバーの指輪をいくつも嵌めた細い指で顎を撫でる。
{動きますか?}
『いや、まだ動くな。学校から追った二人には気付かれて巻かれたんだろ? 奴らも今日は警戒しているはず。今日動けばかえってこちらの不利になる』
電話の相手との会話の途中で扉が開いた。金色のショートヘアーの女が部屋に入って来る。赤いレースのベビードールを纏う女はレースの裾を太ももの辺りで揺らしてソファーにいる男に近付いた。
金髪の女は電話の最中の男の背後から彼の首もとに腕を回して抱きついた。腰を高く突き出した女のベビードールが大胆にめくれて、真っ赤なショーツがあらわになる。
彼は電話相手に別れを告げて携帯電話を傍らに置くと、首に回された女の腕を人差し指でなぞった。
『あの四人組、君の言っていた通りなかなか面白い連中のようだね』
「遊びがいがあるでしょう?」
『そうだね。いいオモチャになりそうだ』
女はソファーを回り込んで男の側に寄り添った。女の下半身を覆っていた赤いショーツがパサリと床に落ち、ソファーの上に重なる男女の影が漆黒の窓ガラスに映る──。
晴、そして悠真、隼人、亮の四人は隠れた陰謀にまだ気付かずに、彼らは高校生活最後の夏休みを迎えた。
{奴らが溜まり場にしている場所がわかりました。西新宿のシックザール。ヴィンテージの楽器屋です}
『楽器屋……そうか。四人のうち二人はバンドをやっているんだったな』
携帯電話から聞こえる報告に彼はシルバーの指輪をいくつも嵌めた細い指で顎を撫でる。
{動きますか?}
『いや、まだ動くな。学校から追った二人には気付かれて巻かれたんだろ? 奴らも今日は警戒しているはず。今日動けばかえってこちらの不利になる』
電話の相手との会話の途中で扉が開いた。金色のショートヘアーの女が部屋に入って来る。赤いレースのベビードールを纏う女はレースの裾を太ももの辺りで揺らしてソファーにいる男に近付いた。
金髪の女は電話の最中の男の背後から彼の首もとに腕を回して抱きついた。腰を高く突き出した女のベビードールが大胆にめくれて、真っ赤なショーツがあらわになる。
彼は電話相手に別れを告げて携帯電話を傍らに置くと、首に回された女の腕を人差し指でなぞった。
『あの四人組、君の言っていた通りなかなか面白い連中のようだね』
「遊びがいがあるでしょう?」
『そうだね。いいオモチャになりそうだ』
女はソファーを回り込んで男の側に寄り添った。女の下半身を覆っていた赤いショーツがパサリと床に落ち、ソファーの上に重なる男女の影が漆黒の窓ガラスに映る──。
晴、そして悠真、隼人、亮の四人は隠れた陰謀にまだ気付かずに、彼らは高校生活最後の夏休みを迎えた。