早河シリーズ序章【白昼夢】スピンオフ
 まず最初は亮だ。部活の帰りに亮を自転車で高円寺駅まで送った陽平は、駅のロータリーで亮が二人組の男に連れて行かれる場面を目撃した。

不穏な現場を目撃してしまい、困った陽平は亮の幼なじみの隼人に連絡。その時は留守電にメッセージを入れ、折り返しかかってきた隼人からの電話で彼は隼人に亮のことを告げた。

 隼人は自分が何とかすると言い、一時は安堵した陽平だったが、やはり心配が募り再度隼人に連絡した。しかしもう隼人の携帯電話は電源が入っていなかった。

連れ去られた亮、連絡のつかない隼人と悠真、三人の身に何かが起きている。

『陽平。もし明日の朝になっても俺の携帯が繋がらなくなってたら今から言う番号に連絡して。この番号にかければ必ずなんとかなるから』

 陽平にメモの準備をさせて晴は口頭で黒龍初代リーダーの龍牙と現リーダーの洸の携帯番号を読み上げた。晴は電話番号の暗記だけは昔から得意だった。

{晴までって何が起きてるんだ? 大丈夫なのか?}
『心配するな。いいか? もしも明日の朝……いや、日付変わった夜中でもいい。俺と音信不通になったならこのどっちかの番号に電話するんだぞ。頼むな』

陽平に言い含め、電話を終える。一連のやりとりを聞いていた海斗と星夜が不安げな顔をしている。

『隼人と亮に何かあったの?』

 星夜が聞いてくる。晴は無言で帰り支度を始めていた。苛立った海斗が晴に詰め寄った。

『おい晴。黙ってちゃわからねぇ。兄貴も隼人も亮も……どうしたって言うんだよ?』
『安心しろ。三人は俺が連れて帰る。お前らも今日は練習早めに切り上げて帰ってろ』

 晴と海斗の睨み合いが数秒続き、諦めた海斗が晴から離れる。晴はバイクのキーを掴んでスタジオを飛び出した。
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