早河シリーズ序章【白昼夢】スピンオフ
17.集められた三人(side 隼人)
原宿で男達に無理やり車に乗せられてからどのくらい経過しただろう。
後部座席の窓はスモークガラスになっていて外の景色は見えない。聞こえるのは窓に当たる雨粒の音のみ。
隼人は後部座席の中央に座らされ、両隣を大柄の男二人に挟まれていた。三人乗りの座席でも、乗る人間のガタイがよければより窮屈に感じる。
どこに行く、お前らは何者だ、何故こんなことをする、隼人の質問を男達はすべて無視。持っていた荷物も取り上げられ、携帯電話も没収され、今の隼人は大人しく車に乗る以外にはなす術がない。
車が停車した。後部座席の左隣の男が先に降りた。右隣の男が隼人に顔を向ける。
『両手を出してください』
『なんで?』
『先ほども言いましたよね? 我々の言う通りにしないとどうなるか』
有無を言わせぬ態度だ。ここは従うしかないと諦めて隼人は組んでいた両手をほどいた。
男が隼人の両手首に銀色の手錠を嵌める。手錠での拘束はすでに犯罪の域だ。
『降りてください』
男の指図で仕方なく車を降りた隼人は周囲を見回した。辺りは薄暗く、虫の鳴き声と木々のざわめきが聞こえる。雨は止んでいたが、空気中に漂う雨の匂いと地面の大きな水溜まりが嵐の余韻を残していた。
ここは東京の都心部ではない。移動距離から考えて多摩方面か埼玉方面、目視できる範囲に住所や地名を示す看板はなかった。
前後左右を男に囲まれて誘導されるがまま湿ったアスファルトを歩いていくと街灯に照らされて浮かび上がる建物が見えた。二階建てのプレハブ小屋だ。
後部座席の窓はスモークガラスになっていて外の景色は見えない。聞こえるのは窓に当たる雨粒の音のみ。
隼人は後部座席の中央に座らされ、両隣を大柄の男二人に挟まれていた。三人乗りの座席でも、乗る人間のガタイがよければより窮屈に感じる。
どこに行く、お前らは何者だ、何故こんなことをする、隼人の質問を男達はすべて無視。持っていた荷物も取り上げられ、携帯電話も没収され、今の隼人は大人しく車に乗る以外にはなす術がない。
車が停車した。後部座席の左隣の男が先に降りた。右隣の男が隼人に顔を向ける。
『両手を出してください』
『なんで?』
『先ほども言いましたよね? 我々の言う通りにしないとどうなるか』
有無を言わせぬ態度だ。ここは従うしかないと諦めて隼人は組んでいた両手をほどいた。
男が隼人の両手首に銀色の手錠を嵌める。手錠での拘束はすでに犯罪の域だ。
『降りてください』
男の指図で仕方なく車を降りた隼人は周囲を見回した。辺りは薄暗く、虫の鳴き声と木々のざわめきが聞こえる。雨は止んでいたが、空気中に漂う雨の匂いと地面の大きな水溜まりが嵐の余韻を残していた。
ここは東京の都心部ではない。移動距離から考えて多摩方面か埼玉方面、目視できる範囲に住所や地名を示す看板はなかった。
前後左右を男に囲まれて誘導されるがまま湿ったアスファルトを歩いていくと街灯に照らされて浮かび上がる建物が見えた。二階建てのプレハブ小屋だ。