早河シリーズ序章【白昼夢】スピンオフ
 ミウが指差した方向では白熱したレースゲームが展開されている。ゲームの中心にいるのは晴の友人のトオルだ。
この調子だとまだゲームは終わりそうもない。

『原宿でsoul streetの撮影あったらしいけどミウは見た?』
「駅前で撮影してた! 晴の友達の隼人くん超かっこよかったよぉ! でも雨が降ってきてね、スタッフっぽい人がこの後は近くのスタジオに移動するって言って、撮影途中までしか見れなかったの」
『そうすると狙われたのはスタジオの帰りか』

 人気雑誌の読者モデルをしているだけあって、隼人はこの界隈では有名人だ。友達が名のしれた有名人なのは妙にくすぐったい気分ではある。

 ミウと話している間にトオルのカーレースが終わったようだ。勝利のガッツポーズをするトオルの名を大声で呼ぶ。

『おー! 晴。どした?』
『聞きたいことがあって。soul streetの撮影が終わった後の隼人の足取りが知りたいんだ。どこかで見かけたりしなかった?』
『撮影してたのは知ってるけど……ちょっと待って。俺のダチでsoul streetのモデルやってる理久《りく》って奴も、今日一緒に撮影してたんだ。理久に聞けば何かわかるかも』

 爆音のBGMや人の声で騒がしい店内から入り口側に移動する。状況が飲み込めないミウも興味津々に二人の後をついてきた。
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