早河シリーズ序章【白昼夢】スピンオフ
 理久と電話口で二言三言話をしたトオルが顔つきを変えた。

『え? ……ああ。晴、理久がお前と話したいって。なんか隼人のことで気になることがあるらしい』

 理久と話をしていたトオルが携帯電話を晴に差し出した。晴は携帯を受け取り、はじめましての挨拶を省《はぶ》いて本題に入る。

 理久は撮影を終えて原宿のスタジオを出た先で隼人が男に囲まれる現場を目撃していた。

『隼人が乗せられた車はどっち方面に行った?』
{明治通りを新宿の方に向かって行った}
『わかった。協力してくれてありがとう』
{いいって。俺もあの後隼人がどうしてたか気になってたんだ。隼人、何かヤバい事件に巻き込まれたりしてないよな?}

万が一の時に心配して協力してくれる人間がいるかいないか、日頃の人望がものを言う。これは隼人の人徳だ。

『無責任なことは言えねぇけど、隼人がいなくなったら俺はめちゃくちゃ悲しいんだ。だから絶対、隼人を助けるから』
{……隼人が帰ってきたら今度みんなで遊びに行こうぜ}
『おう。楽しみにしておく。じゃーな、理久』

理久との通話を切って携帯をトオルに返す。

『ダチのために動くとこ、晴らしいな。無茶はするなよ』
『わかってる。ミウ、今度隼人と一緒にプリクラ撮らせてやるな』
「まじ? やったぁ!」

 晴達の会話を不安げに見守っていたミウが一気に明るい笑顔を見せた。
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