早河シリーズ序章【白昼夢】スピンオフ
「そうだ。あのね、晴……。蒼汰のことは聞いてたからもしかしたらとは思ったんだけどぉ」

 ミウがフリンジのついたボヘミアンテイストのバッグから、ハートが表紙の分厚い手帳を取り出した。

「蒼汰をハメたエリカって女、ウルフショートの金髪なんでしょ?」
『そうらしい。でもそんな女腐るほどいるよなぁ。金髪ショート流行ってるし』
「うん。だからミウもあんまり気にしてなかったの。でも最近プリ交換した友達のプリにウルフの金髪の子がいたんだ。……あった! この子。名前はエリカじゃないし、蒼汰の事件とは関係ないかなぁ。こっちのRenaがミウの友達ね」

 手帳の中身は長方形のプリクラでぎっしり埋め尽くされていた。

ミウはプリクラ帳のページを広げ、立体的なハイビスカスの飾りがついたスカルプチュアの爪で、あるプリクラを指差した。

 晴は目を凝らしてミウが指差すプリクラを見る。プリクラには二人の女が写っていた。

ウルフの金髪の女と茶髪セミロングの女。
らくがきで名前が書いてあり、Renaと書かれた茶髪セミロングの女がミウの友達らしい。




※プリクラ機やプリクラ帳、プリクラ交換の文化は『2002年当時』の時代背景で描写しており、現在のプリクラ文化とは大きく異なります。
< 127 / 133 >

この作品をシェア

pagetop