早河シリーズ序章【白昼夢】スピンオフ
『晴さん携帯鳴ってますよ』
ぼうっと歩いていた晴は拓に指摘されるまで携帯が鳴っていることにも気付かなかった。
慌てて取り出した携帯の着信画面は非通知。このタイミングでの非通知着信に嫌な想像が脳裏によぎる。
『……もしもし』
電話に出るのにこんなに緊張したのは初めてだ。
{緒方晴さんだね?}
落ち着いた男の声がした。知らない声だ。
『そうだけど、どちら様?』
{高園悠真、木村隼人、渡辺亮、この三人は僕が預かっている}
『三人を拉致した目的は?』
{それはまだ言えないね。君が来て、全員揃ったら教えてあげるよ}
この余裕のある口調、高圧的で人を小馬鹿にする態度、晴の本能が告げている。電話の向こうにいる人物は、晴がこの世で最も嫌いなタイプの人間だ。
{今は原宿にいるようだね}
『どうして俺の居場所を……』
{君達の行動はすべて僕の監視下だ。特に君の行動は他の三人に比べてわかりやすい。とても面白い}
どこかで行動を見張られている。無意識に左右を見回しても拓以外に側に人はいない。
道行く人で電話をかけている人間を見つけたが、この電話の男とは別人だった。
{今から八王子駅まで来られるかな?}
『バイク飛ばして行ってやるよ』
{OK。君が八王子駅に到着した頃にまた連絡を入れる。仲間の所に案内してあげよう。じゃ、また}
気味の悪い笑い声を残して男が通話を切った。携帯を握る晴の手は怒りで震えている。
『晴さん、今の電話……』
『三人を拉致った犯人からだ。あちらさんからご招待してくれて捜す手間が省けた』
駐輪場で自分のバイクを見つけた晴はバイクに跨がり、ヘルメットを被る。
『俺も一緒に行きます』
『ダメだ。俺ひとりで行く。お前は蒼汰達と合流してろ』
一緒に行くと主張する拓を振り切ってバイクを発進させた。ミラーに映る拓の姿がだんだん小さくなっていく。
(悠真、隼人、亮……待ってろよ。お前らは絶対に俺が助ける)
ぼうっと歩いていた晴は拓に指摘されるまで携帯が鳴っていることにも気付かなかった。
慌てて取り出した携帯の着信画面は非通知。このタイミングでの非通知着信に嫌な想像が脳裏によぎる。
『……もしもし』
電話に出るのにこんなに緊張したのは初めてだ。
{緒方晴さんだね?}
落ち着いた男の声がした。知らない声だ。
『そうだけど、どちら様?』
{高園悠真、木村隼人、渡辺亮、この三人は僕が預かっている}
『三人を拉致した目的は?』
{それはまだ言えないね。君が来て、全員揃ったら教えてあげるよ}
この余裕のある口調、高圧的で人を小馬鹿にする態度、晴の本能が告げている。電話の向こうにいる人物は、晴がこの世で最も嫌いなタイプの人間だ。
{今は原宿にいるようだね}
『どうして俺の居場所を……』
{君達の行動はすべて僕の監視下だ。特に君の行動は他の三人に比べてわかりやすい。とても面白い}
どこかで行動を見張られている。無意識に左右を見回しても拓以外に側に人はいない。
道行く人で電話をかけている人間を見つけたが、この電話の男とは別人だった。
{今から八王子駅まで来られるかな?}
『バイク飛ばして行ってやるよ』
{OK。君が八王子駅に到着した頃にまた連絡を入れる。仲間の所に案内してあげよう。じゃ、また}
気味の悪い笑い声を残して男が通話を切った。携帯を握る晴の手は怒りで震えている。
『晴さん、今の電話……』
『三人を拉致った犯人からだ。あちらさんからご招待してくれて捜す手間が省けた』
駐輪場で自分のバイクを見つけた晴はバイクに跨がり、ヘルメットを被る。
『俺も一緒に行きます』
『ダメだ。俺ひとりで行く。お前は蒼汰達と合流してろ』
一緒に行くと主張する拓を振り切ってバイクを発進させた。ミラーに映る拓の姿がだんだん小さくなっていく。
(悠真、隼人、亮……待ってろよ。お前らは絶対に俺が助ける)