早河シリーズ序章【白昼夢】スピンオフ
長方形の殺風景な室内で壁際に置かれた四つの椅子に悠真、隼人、亮の並びで座る。空席はひとつ。その椅子は晴の席のようだ。
『まずはお礼を申し上げなければいけませんね。貴重な夏休みの最中に、わざわざこんな場所までご足労いただき恐縮です』
『そりゃあ、一緒に来ないと仲間がどうなるかわからないって脅し文句言われたら行くしかないだろ』
亮が呆れた顔で溜息をつく。悠真も同じような脅し文句を言われて車に乗せられた。
相澤は悠長に笑っていた。
『それは申し訳ない。君達をここに連れて来た彼らには、多少手荒な扱いをしてでも必ず連れて来るよう指示していたものですから』
『なぁ、あんた部屋に来た時に面白いものが見れたって言ったよな。それってここにいる俺達をどこかで見てたってこと?』
悠真も気にしていた件を隼人が聞いた。相澤は手で顎をさすって頷く。
『ああ、あれね。君達の素晴らしい連携プレーは面白かったですよ。この部屋にはいくつかカメラが仕掛けてあってね。僕は別の場所でここの映像を見ていました』
そんなことだろうとは思っていた。悠真が本題を切り出す。
『それで相澤さん。あなたの目的は?』
『うーん、目的ねぇ。こちらにも色々と込み入った事情がありましてどれから話そうかな。“僕のみ”の目的を言うなら、僕は君達に興味がある』
僕のみ、と含みを持たせた表現も気にかかるが、三人は異口同音に『はぁ?』と返した。
興味があると言われると、嫌でもそっち系の趣味の想像をしてしまう。
『ああ、勘違いしないでくれよ。興味があると言うのはセクシュアルな意味ではない。僕の性的嗜好は女性のみだ。安心してください』
三人それぞれの反応を見て相澤は大袈裟に片手を振って苦笑する。
『君達のことを調べさせてもらったよ。一般の高校生にしては言動が研ぎ澄まされていて興味深い。高園さん、あなたのお父上はあのemperorの元ボーカリストですよね。あなた自身も緒方さんや弟さんとバンドを組んで音楽活動をしていらっしゃる』
『父の素性は世間には知られていないはずですが、どこでそのことを?』
『僕はあらゆる業界にコネクションがある。これくらいの情報は容易に手に入ります』
大方、金持ちのコネクションだろう。
相澤は脚を組んで不敵に微笑んでいる。いちいち言動が気に障る男だ。
数人の足音が聞こえ、扉が開かれた。相澤が顔だけを出入り口に向ける。
『最後のひとりが揃いましたね』
最後のひとり。つまり……
『まずはお礼を申し上げなければいけませんね。貴重な夏休みの最中に、わざわざこんな場所までご足労いただき恐縮です』
『そりゃあ、一緒に来ないと仲間がどうなるかわからないって脅し文句言われたら行くしかないだろ』
亮が呆れた顔で溜息をつく。悠真も同じような脅し文句を言われて車に乗せられた。
相澤は悠長に笑っていた。
『それは申し訳ない。君達をここに連れて来た彼らには、多少手荒な扱いをしてでも必ず連れて来るよう指示していたものですから』
『なぁ、あんた部屋に来た時に面白いものが見れたって言ったよな。それってここにいる俺達をどこかで見てたってこと?』
悠真も気にしていた件を隼人が聞いた。相澤は手で顎をさすって頷く。
『ああ、あれね。君達の素晴らしい連携プレーは面白かったですよ。この部屋にはいくつかカメラが仕掛けてあってね。僕は別の場所でここの映像を見ていました』
そんなことだろうとは思っていた。悠真が本題を切り出す。
『それで相澤さん。あなたの目的は?』
『うーん、目的ねぇ。こちらにも色々と込み入った事情がありましてどれから話そうかな。“僕のみ”の目的を言うなら、僕は君達に興味がある』
僕のみ、と含みを持たせた表現も気にかかるが、三人は異口同音に『はぁ?』と返した。
興味があると言われると、嫌でもそっち系の趣味の想像をしてしまう。
『ああ、勘違いしないでくれよ。興味があると言うのはセクシュアルな意味ではない。僕の性的嗜好は女性のみだ。安心してください』
三人それぞれの反応を見て相澤は大袈裟に片手を振って苦笑する。
『君達のことを調べさせてもらったよ。一般の高校生にしては言動が研ぎ澄まされていて興味深い。高園さん、あなたのお父上はあのemperorの元ボーカリストですよね。あなた自身も緒方さんや弟さんとバンドを組んで音楽活動をしていらっしゃる』
『父の素性は世間には知られていないはずですが、どこでそのことを?』
『僕はあらゆる業界にコネクションがある。これくらいの情報は容易に手に入ります』
大方、金持ちのコネクションだろう。
相澤は脚を組んで不敵に微笑んでいる。いちいち言動が気に障る男だ。
数人の足音が聞こえ、扉が開かれた。相澤が顔だけを出入り口に向ける。
『最後のひとりが揃いましたね』
最後のひとり。つまり……