早河シリーズ序章【白昼夢】スピンオフ
22.真の狙い(side 晴)
ミウのプリクラ帳に貼ってあったプリクラに写る二人の女。らくがきで書かれた名前は茶髪の女がミウの友達のRena、金髪ショートの女がMomoko。
蒼汰に確認のメールを送った晴は桃子の兄の兵藤《ひょうどう》清孝《きよたか》にもプリクラの写真を添付したメールを送っていた。清孝は杉澤学院高校の二大グループ、アルファルドとレグルスの親玉のシルバージャガーの元トップ。
蒼汰と清孝に確認をしてエリカ=兵藤桃子だと判明した。
蒼汰をハメた女と同じ空間にいるだけで虫酸が走る。
『まさか君があの兵藤さんだとは思わなかったよ。女は化粧と髪型で雰囲気変わるよね。でも香水は付けすぎかな。香水の付け方知らない?』
余裕綽々な態度で悠真は桃子を見据えた。こんな時でも冷静にかまえるところは悠真らしい。桃子は悠真を睨み付けて鼻を鳴らした。
『で? 晴の相棒ハメて、そこにいる金持ちの坊っちゃんと共謀して俺達をここに閉じ込めて、あんたは何がしたい?』
隼人も桃子の登場にげんなりしている。桃子は隼人に近付き、隼人の頬に触れた。桃子の爪はとても長く、ラメをベースにしたネイルにはゴテゴテとしたプルメリアのパーツがついている。
「ねぇー、木村先輩。増田奈緒には手を出さなかったの?」
『どうして今、増田さんの名前が出てくる?』
「だぁって。女に手が早いって噂の木村先輩が世話を焼いてる増田奈緒には手を出していないようだから。あの子は先輩の好みじゃないの?」
桃子の甘えた猫なで声が気持ち悪い。そして彼女の猫なで声を聞いて晴も悠真も亮も、隼人自身も気が付いた。
兵藤桃子の標的《ターゲット》は隼人だ。
桃子の指がいやらしく隼人の頬から首筋を撫で回す。隼人は顔をしかめて彼女を見上げた。
『そんなに増田奈緒が嫌いか?』
「嫌いよ。大っ嫌い。弱々しくてひとりじゃ何もできないくせに、ニコニコしてるだけで周りに助けてもらえて可愛がられて。先輩だってあの子の味方。別にもう会うこともないけどムカつくのよ」
『はっ。そのムカつくって感情を何て言うか教えてやろうか? 嫉妬って言うんだぞ』
隼人に嘲笑された桃子は歯ぎしりして隼人の頬に長い爪を立てた。隼人以外の三人が息を呑む。
蒼汰に確認のメールを送った晴は桃子の兄の兵藤《ひょうどう》清孝《きよたか》にもプリクラの写真を添付したメールを送っていた。清孝は杉澤学院高校の二大グループ、アルファルドとレグルスの親玉のシルバージャガーの元トップ。
蒼汰と清孝に確認をしてエリカ=兵藤桃子だと判明した。
蒼汰をハメた女と同じ空間にいるだけで虫酸が走る。
『まさか君があの兵藤さんだとは思わなかったよ。女は化粧と髪型で雰囲気変わるよね。でも香水は付けすぎかな。香水の付け方知らない?』
余裕綽々な態度で悠真は桃子を見据えた。こんな時でも冷静にかまえるところは悠真らしい。桃子は悠真を睨み付けて鼻を鳴らした。
『で? 晴の相棒ハメて、そこにいる金持ちの坊っちゃんと共謀して俺達をここに閉じ込めて、あんたは何がしたい?』
隼人も桃子の登場にげんなりしている。桃子は隼人に近付き、隼人の頬に触れた。桃子の爪はとても長く、ラメをベースにしたネイルにはゴテゴテとしたプルメリアのパーツがついている。
「ねぇー、木村先輩。増田奈緒には手を出さなかったの?」
『どうして今、増田さんの名前が出てくる?』
「だぁって。女に手が早いって噂の木村先輩が世話を焼いてる増田奈緒には手を出していないようだから。あの子は先輩の好みじゃないの?」
桃子の甘えた猫なで声が気持ち悪い。そして彼女の猫なで声を聞いて晴も悠真も亮も、隼人自身も気が付いた。
兵藤桃子の標的《ターゲット》は隼人だ。
桃子の指がいやらしく隼人の頬から首筋を撫で回す。隼人は顔をしかめて彼女を見上げた。
『そんなに増田奈緒が嫌いか?』
「嫌いよ。大っ嫌い。弱々しくてひとりじゃ何もできないくせに、ニコニコしてるだけで周りに助けてもらえて可愛がられて。先輩だってあの子の味方。別にもう会うこともないけどムカつくのよ」
『はっ。そのムカつくって感情を何て言うか教えてやろうか? 嫉妬って言うんだぞ』
隼人に嘲笑された桃子は歯ぎしりして隼人の頬に長い爪を立てた。隼人以外の三人が息を呑む。