早河シリーズ序章【白昼夢】スピンオフ
 鉄パイプを持った男達が相澤と桃子を中心にして壁際にいる晴達を取り囲む。

『どうもー。高園会長に木村副会長。そうやってしおらしく捕まってると会長達もまだ可愛く見えますね』

シルバーのアクセサリーをじゃらじゃらと首に巻き付けた男が悦に入った笑みで悠真と隼人を見る。眉を寄せた悠真は男を数秒見て頷いた。

『お前アルファルドにいた奴か』
『ザッツライト! さっすが生徒会長。顔を覚えてもらっていて光栄ですよ。ここにいる奴ら皆、あんた達のおかげで退学になったんだ。きっちり仕返しさせてもらいますよ』

 見覚えのある顔だらけだと思えば先月に晴達が解散させた杉澤学院高校の不良グループ、アルファルドとレグルスの中心メンバーだ。

賭け事件の生徒の処分は停学と退学でわかれたが、ここに集まるのは退学処分を受けた人間達ばかりだ。

 男が二人の仲間に指示をする。二人の男が隼人の腕を両側から持ち上げて無理やり立たせた。

『隼人に何するんだよっ!』

亮が叫ぶが、別の男が亮の前に鉄パイプをちらつかせる。

『木村副会長はうちの女王様がご所望なんだ。邪魔するとこれで頭吹っ飛ばすぞ』

 銀色に冷たく光る鉄パイプが亮の頬に当たる。亮は唇を噛み締めて拘束される隼人を目で追った。

 アルファルドのリーダーが隼人に近付き、隼人の髪を鷲掴む。

『木村隼人、いい様だな。杉澤にいた時から俺はずーっとお前が気に入らなかったんだ』
『別にお前に気に入られたくもねぇよ』
『そういう生意気な態度とってると後で後悔するぜ?』

男が隼人の腹部に拳を撃ち込んだ。隼人は体を前のめりに倒して何度も咳き込み、膝がガクッと曲がった。

『隼人っ!』

悠真が叫ぶ。悠真も亮も晴も、怒りを露にした。もう我慢の限界だった。
このままじゃ隼人が危ない。
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