早河シリーズ序章【白昼夢】スピンオフ
「木村先輩はこれから私を楽しませるための大事なお仕事があるんだから、あんまりボコボコに殴らないでね。顔も殴るの止めてよ。せっかくの木村先輩とのキスが血の味だなんて、ロマンチックじゃないもの」
桃子はオレンジ色の粉末を水に溶いて注射器に入れている。あの注射器を使って隼人にクスリを打つつもりだ。
「先輩が私とエッチしてるとこを写真に撮って、増田奈緒の携帯に送りつけるの。キス写真も付けようかな。あの子、木村先輩のことが好きだから、私のモノになってる先輩を見てショック受けちゃうだろうね。楽しみぃ」
『……あんた勘違いしてるな』
男達に拘束される隼人は呼吸を荒くして桃子を睨んだ。
『増田奈緒とあんたは違うんだよ。俺が増田奈緒に手を出さなかったのは、あの子が俺の女に向いていないだけ。あの子だけを見てくれる男はすぐに見つかる。けど、あんたは単に俺の好みじゃねぇんだよ。女なら誰でも抱くと思うなよ? 俺にも女を選ぶ権利はある』
桃子の頬に赤みが差す。相澤が口の端を歪めて笑った。
『よく回る口だ。やはり君は一段と面白いね』
『うるっせーよ。ヤク中野郎は黙ってろ。てめぇもクスリクスリって気持ち悪りぃんだよ。おい兵藤桃子。さっき増田奈緒をひとりじゃ何もできないって言ったけどな、ひとりじゃ何もできないのはお前だろ? 増田奈緒は最後はひとりでお前と戦った。でもお前はこんなに大勢集めねぇと俺達に対抗できねぇのか? ひとりで戦う度胸もねぇんだな』
隼人はこんな状況でも自分を曲げず、言いたいことを言う。彼は絶対に相澤と桃子に屈しない。
「言いたい放題言ってくれますね。すぐにその強気な口聞けなくさせてあげる。クスリを使えば木村先輩は私のモノ」
舌打ちした桃子は晴、悠真、亮を順に見た。
「あとの三人もみんな好きにオモチャにしていいよ。そうそう、緒方先輩。黒龍のリーダーとNo.2の蒼汰なら待っててもこっちに来ませんよ。黒龍のリーダーとNo.2を潰すことも目的のひとつなの。二人を潰して新しいリーダーを立てて、アルファルドとレグルス、シルバージャガーを加えた関東最大のグループを作る。そのためには邪魔なリーダーとNo.2の蒼汰には消えてもらいます。緒方先輩ごめんなさいねぇ」
彼女はオレンジ色の液体の入る注射器をかざして法悦している。腰をくねらせ、また隼人に近づいた。
桃子と入れ違いに晴の前に立った男が晴の胸ぐらを掴んだ。レグルスのサブリーダーだ。
『緒方ぁ。お前も仲間に裏切られて気の毒だな? 黒龍のリーダーとNo.2は今頃ボコボコにやられてるだろうよ』
晴は笑いを堪えるのに必死だった。
洸と蒼汰がやられてる? そんなことあり得ない。
『何笑ってやがる』
『お前らさぁ……あんまり“俺達”を甘く見ない方がいいぜ?』
晴の含み笑いに彼の胸ぐらを掴んでいた男が怯んだ直後、盛大な音を立てて扉が開いた。
桃子はオレンジ色の粉末を水に溶いて注射器に入れている。あの注射器を使って隼人にクスリを打つつもりだ。
「先輩が私とエッチしてるとこを写真に撮って、増田奈緒の携帯に送りつけるの。キス写真も付けようかな。あの子、木村先輩のことが好きだから、私のモノになってる先輩を見てショック受けちゃうだろうね。楽しみぃ」
『……あんた勘違いしてるな』
男達に拘束される隼人は呼吸を荒くして桃子を睨んだ。
『増田奈緒とあんたは違うんだよ。俺が増田奈緒に手を出さなかったのは、あの子が俺の女に向いていないだけ。あの子だけを見てくれる男はすぐに見つかる。けど、あんたは単に俺の好みじゃねぇんだよ。女なら誰でも抱くと思うなよ? 俺にも女を選ぶ権利はある』
桃子の頬に赤みが差す。相澤が口の端を歪めて笑った。
『よく回る口だ。やはり君は一段と面白いね』
『うるっせーよ。ヤク中野郎は黙ってろ。てめぇもクスリクスリって気持ち悪りぃんだよ。おい兵藤桃子。さっき増田奈緒をひとりじゃ何もできないって言ったけどな、ひとりじゃ何もできないのはお前だろ? 増田奈緒は最後はひとりでお前と戦った。でもお前はこんなに大勢集めねぇと俺達に対抗できねぇのか? ひとりで戦う度胸もねぇんだな』
隼人はこんな状況でも自分を曲げず、言いたいことを言う。彼は絶対に相澤と桃子に屈しない。
「言いたい放題言ってくれますね。すぐにその強気な口聞けなくさせてあげる。クスリを使えば木村先輩は私のモノ」
舌打ちした桃子は晴、悠真、亮を順に見た。
「あとの三人もみんな好きにオモチャにしていいよ。そうそう、緒方先輩。黒龍のリーダーとNo.2の蒼汰なら待っててもこっちに来ませんよ。黒龍のリーダーとNo.2を潰すことも目的のひとつなの。二人を潰して新しいリーダーを立てて、アルファルドとレグルス、シルバージャガーを加えた関東最大のグループを作る。そのためには邪魔なリーダーとNo.2の蒼汰には消えてもらいます。緒方先輩ごめんなさいねぇ」
彼女はオレンジ色の液体の入る注射器をかざして法悦している。腰をくねらせ、また隼人に近づいた。
桃子と入れ違いに晴の前に立った男が晴の胸ぐらを掴んだ。レグルスのサブリーダーだ。
『緒方ぁ。お前も仲間に裏切られて気の毒だな? 黒龍のリーダーとNo.2は今頃ボコボコにやられてるだろうよ』
晴は笑いを堪えるのに必死だった。
洸と蒼汰がやられてる? そんなことあり得ない。
『何笑ってやがる』
『お前らさぁ……あんまり“俺達”を甘く見ない方がいいぜ?』
晴の含み笑いに彼の胸ぐらを掴んでいた男が怯んだ直後、盛大な音を立てて扉が開いた。