早河シリーズ序章【白昼夢】スピンオフ
相澤家の詳細は龍牙の上司である弁護士の片山に調べてもらった。相澤グループ本家には相澤会長直系の孫が数人いるが、中でも会長の息子の相澤社長には二人の息子がいる。
それが長男で現在23歳の相澤直輝と、次男で高校二年生の相澤拓の兄弟だ。この二人が将来の相澤グループを担うと言われている。
『事の発端は、晴の学校で起きた賭け事件だ。その事件を解決するために晴は黒龍を動かした。これについては俺も触りだけは聞いてる。拓、お前も晴達に協力したんだよな。だがお前は協力するフリをして、影で自分の計画に使えそうな人間を捜していた。そして賭け事件の黒幕の兵藤桃子に近付いた』
拓は何も言わない。龍牙は話を続けた。
『桃子と兄貴を組ませたのもお前だ。晴のダチを拉致した兄貴の目的は知らねぇが、あっちの計画も潰させてもらった。洸と蒼汰には晴達を助けに行かせたからな』
『そんな……嘘だ!』
拓が初めて口を開いた。弱々しい怒声だ。
『嘘じゃねぇよ。お前が相澤の弟だとわかってからは、洸にお前を見張っておくよう頼んだ。案の定、晴が相澤に呼び出された後にお前も動いた。大方、兄貴が晴達を拉致監禁してる間にお前がこっちで洸と蒼汰を呼び出して潰す計画だったらしいが……。どうして仲間を裏切った?』
『そんなの決まってるじゃないですか。俺がトップに立つためですよ』
拓はまったく悪びれる様子はない。
『No.2の蒼汰ハメて、リーダーの洸を潰して、それでトップになれると思ってんのか?』
『龍牙さんともあろう人が何言ってんですか?力って言うのは闘って勝ち取るものでしょ?』
『じゃあここにいる奴らは何だ?』
静まり返る倉庫内を龍牙は見渡す。倉庫に集まる三十人弱の男達は、龍牙と拓のやりとりを見物するだけの傍観者に徹していた。
『お前が本当に黒龍のトップ張りたいなら洸とサシで勝負して勝てばいいだろ。それをこんなに大勢で囲まないと勝てる自信がないのか? カッコ悪いな』
龍牙の煽りにキレた拓は顔を歪めて舌打ちし、側にあった角材を龍牙めがけて投げたつけた。龍牙は軽い身のこなしで角材を避ける。角材が音を立てて地面に落ちた。
それが長男で現在23歳の相澤直輝と、次男で高校二年生の相澤拓の兄弟だ。この二人が将来の相澤グループを担うと言われている。
『事の発端は、晴の学校で起きた賭け事件だ。その事件を解決するために晴は黒龍を動かした。これについては俺も触りだけは聞いてる。拓、お前も晴達に協力したんだよな。だがお前は協力するフリをして、影で自分の計画に使えそうな人間を捜していた。そして賭け事件の黒幕の兵藤桃子に近付いた』
拓は何も言わない。龍牙は話を続けた。
『桃子と兄貴を組ませたのもお前だ。晴のダチを拉致した兄貴の目的は知らねぇが、あっちの計画も潰させてもらった。洸と蒼汰には晴達を助けに行かせたからな』
『そんな……嘘だ!』
拓が初めて口を開いた。弱々しい怒声だ。
『嘘じゃねぇよ。お前が相澤の弟だとわかってからは、洸にお前を見張っておくよう頼んだ。案の定、晴が相澤に呼び出された後にお前も動いた。大方、兄貴が晴達を拉致監禁してる間にお前がこっちで洸と蒼汰を呼び出して潰す計画だったらしいが……。どうして仲間を裏切った?』
『そんなの決まってるじゃないですか。俺がトップに立つためですよ』
拓はまったく悪びれる様子はない。
『No.2の蒼汰ハメて、リーダーの洸を潰して、それでトップになれると思ってんのか?』
『龍牙さんともあろう人が何言ってんですか?力って言うのは闘って勝ち取るものでしょ?』
『じゃあここにいる奴らは何だ?』
静まり返る倉庫内を龍牙は見渡す。倉庫に集まる三十人弱の男達は、龍牙と拓のやりとりを見物するだけの傍観者に徹していた。
『お前が本当に黒龍のトップ張りたいなら洸とサシで勝負して勝てばいいだろ。それをこんなに大勢で囲まないと勝てる自信がないのか? カッコ悪いな』
龍牙の煽りにキレた拓は顔を歪めて舌打ちし、側にあった角材を龍牙めがけて投げたつけた。龍牙は軽い身のこなしで角材を避ける。角材が音を立てて地面に落ちた。