早河シリーズ序章【白昼夢】スピンオフ
隼人達はサトルのスタジオを出て新宿駅前のお好み焼き屋に三人で入った。
『そう言えば隼人は杉澤の帝王って呼ばれてるんだろ?』
いつの間にか隼人を下の名前で呼ぶ晴が雑な手つきで鉄板の上にお好み焼きの具を大雑把に落とす。
大阪の親戚仕込みと自称する晴がお好み焼きを焼く係を買って出たが、晴の危なっかしい手つきを見ると彼に任せて大丈夫なのか隼人は心配になる。
『女子が勝手に呼んでるだけ』
『実はな、悠真も女子に勝手にアダ名つけられてんだよ。それが杉澤の光源氏だぜ? 笑えるだろ?』
フライ返しで悠真を指す晴がニヤニヤと笑っている。悠真は不機嫌な顔でグラスに入る水を飲んでいた。
『光源氏って源氏物語のあの?』
『そうそう。妹が源氏物語の漫画持ってるんだけどその漫画に出て来る光源氏が悠真そっくりなんだよな!』
『晴。それ以上言うならこの鉄板の上でお前を焼いてもいいんだな?』
笑っている晴に悠真の冷ややかな視線が向けられる。顔が綺麗なだけに睨みを効かせた悠真は迫力があって怖い。
しかし晴のボケと悠真の冷静なツッコミを聞いていると面白い。
『お前らって高校からの付き合いなのか?』
『いや、俺と悠真は中学が一緒。まぁ腐れ縁? なんやかんやと喋ってたら一緒にバンドまでやる付き合いになっちまったんだ』
晴と悠真、性格がまるで違う二人は本来なら絶対に交わらない関係だったと思う。二人の中学時代の話を聞きながらお好み焼きを食べるこの時間が楽しかった。
今まで心にモヤモヤと覆っていた霧の中に光が差し込んでくる。霧はまだ晴れないが視界は明るい。
夢は何? と聞かれても今の隼人にはまだ答えられない。サッカーよりも大切なものがこの先見つかるかも、自分が何をしたいのかもまだ解らない。
でもいつか見つかるといい。
晴や悠真みたいに、キラキラとした瞳で熱くなって人に語れるくらいの最高で大切な夢。
晴と悠真の音楽に出会えて、二人の熱い想いを聞いて、隼人は何かが吹っ切れた。
『そう言えば隼人は杉澤の帝王って呼ばれてるんだろ?』
いつの間にか隼人を下の名前で呼ぶ晴が雑な手つきで鉄板の上にお好み焼きの具を大雑把に落とす。
大阪の親戚仕込みと自称する晴がお好み焼きを焼く係を買って出たが、晴の危なっかしい手つきを見ると彼に任せて大丈夫なのか隼人は心配になる。
『女子が勝手に呼んでるだけ』
『実はな、悠真も女子に勝手にアダ名つけられてんだよ。それが杉澤の光源氏だぜ? 笑えるだろ?』
フライ返しで悠真を指す晴がニヤニヤと笑っている。悠真は不機嫌な顔でグラスに入る水を飲んでいた。
『光源氏って源氏物語のあの?』
『そうそう。妹が源氏物語の漫画持ってるんだけどその漫画に出て来る光源氏が悠真そっくりなんだよな!』
『晴。それ以上言うならこの鉄板の上でお前を焼いてもいいんだな?』
笑っている晴に悠真の冷ややかな視線が向けられる。顔が綺麗なだけに睨みを効かせた悠真は迫力があって怖い。
しかし晴のボケと悠真の冷静なツッコミを聞いていると面白い。
『お前らって高校からの付き合いなのか?』
『いや、俺と悠真は中学が一緒。まぁ腐れ縁? なんやかんやと喋ってたら一緒にバンドまでやる付き合いになっちまったんだ』
晴と悠真、性格がまるで違う二人は本来なら絶対に交わらない関係だったと思う。二人の中学時代の話を聞きながらお好み焼きを食べるこの時間が楽しかった。
今まで心にモヤモヤと覆っていた霧の中に光が差し込んでくる。霧はまだ晴れないが視界は明るい。
夢は何? と聞かれても今の隼人にはまだ答えられない。サッカーよりも大切なものがこの先見つかるかも、自分が何をしたいのかもまだ解らない。
でもいつか見つかるといい。
晴や悠真みたいに、キラキラとした瞳で熱くなって人に語れるくらいの最高で大切な夢。
晴と悠真の音楽に出会えて、二人の熱い想いを聞いて、隼人は何かが吹っ切れた。