早河シリーズ序章【白昼夢】スピンオフ
木村先輩の笑顔にきゅんとした。やっぱりダメだ。まだ好きみたい。クールな先輩もかっこいいけど笑っている先輩はさらにかっこいい……。
「こらこら。まーた木村先輩見てる」
亜矢が私の頬をつっついた。
「だって……」
「奈緒の気持ちはわかるけど木村先輩は止めた方がいいって。木村先輩本人は生徒や先生からの人望もあるし、イイ人だと思うよ。でも女のことに関してはうちの学校だけじゃなくて他校にもたくさん彼女がいるとか、年上のOLと付き合ってるとか、いろんな噂聞くよ。傷付いて泣くのは奈緒なんだから」
真剣な顔で私を諭す亜矢は本気で私のことを心配して言ってくれている。
「亜矢、ありがとう。わかってるよ。もう一度告白する勇気はないもん」
私達はトップ4を横目に見ながら階段を上がって2年2組の教室に入った。
座席表で確認した席に荷物を置いた私と亜矢は廊下に出る。本日のお喋りの話題はやはりトップ4のこと。
「私は木村先輩よりも爽やかで優しそうな渡辺先輩派」
「付き合うなら渡辺先輩か緒方先輩がいいって子けっこう多いよね」
「ねー。緒方先輩はあれで暴走族入ってたの? ってくらいに明るくて面白そう。渡辺先輩は彼女になったらすごく大事にしてくれそう。だけど渡辺先輩の彼女情報って全然入って来ないのよね。やっぱり彼女は他校の子かなぁ。前に、渡辺先輩が聖蘭学園の子と一緒に帰ってるところ見た人がいるのよねぇ」
私と亜矢のこの話題も杉澤の女子生徒の間ではありふれたもの。もし付き合うなら四人組の誰の彼女になりたいかで妄想して騒ぐのが楽しい。
それは私や亜矢や、きっと他の子達にとっても、先輩達は芸能人と同じだから。
絶対に手の届かない存在。見ているだけで満足の雲の上の人。
私は木村先輩の彼女にはなれない。もし彼女になれたとしても何人もいる彼女のひとりにされてしまう。
木村先輩の“たったひとりの彼女”になれる人がいるのならどんな女性だろう?
木村先輩の1番になれる人……美人で大人で上品な女性かな? 可愛くて明るい女性かな?
あの女遊びの激しい木村先輩を射止める女性がいるのならどんな人になるのかって、そんなことを朝礼の時間に考えていた。
「こらこら。まーた木村先輩見てる」
亜矢が私の頬をつっついた。
「だって……」
「奈緒の気持ちはわかるけど木村先輩は止めた方がいいって。木村先輩本人は生徒や先生からの人望もあるし、イイ人だと思うよ。でも女のことに関してはうちの学校だけじゃなくて他校にもたくさん彼女がいるとか、年上のOLと付き合ってるとか、いろんな噂聞くよ。傷付いて泣くのは奈緒なんだから」
真剣な顔で私を諭す亜矢は本気で私のことを心配して言ってくれている。
「亜矢、ありがとう。わかってるよ。もう一度告白する勇気はないもん」
私達はトップ4を横目に見ながら階段を上がって2年2組の教室に入った。
座席表で確認した席に荷物を置いた私と亜矢は廊下に出る。本日のお喋りの話題はやはりトップ4のこと。
「私は木村先輩よりも爽やかで優しそうな渡辺先輩派」
「付き合うなら渡辺先輩か緒方先輩がいいって子けっこう多いよね」
「ねー。緒方先輩はあれで暴走族入ってたの? ってくらいに明るくて面白そう。渡辺先輩は彼女になったらすごく大事にしてくれそう。だけど渡辺先輩の彼女情報って全然入って来ないのよね。やっぱり彼女は他校の子かなぁ。前に、渡辺先輩が聖蘭学園の子と一緒に帰ってるところ見た人がいるのよねぇ」
私と亜矢のこの話題も杉澤の女子生徒の間ではありふれたもの。もし付き合うなら四人組の誰の彼女になりたいかで妄想して騒ぐのが楽しい。
それは私や亜矢や、きっと他の子達にとっても、先輩達は芸能人と同じだから。
絶対に手の届かない存在。見ているだけで満足の雲の上の人。
私は木村先輩の彼女にはなれない。もし彼女になれたとしても何人もいる彼女のひとりにされてしまう。
木村先輩の“たったひとりの彼女”になれる人がいるのならどんな女性だろう?
木村先輩の1番になれる人……美人で大人で上品な女性かな? 可愛くて明るい女性かな?
あの女遊びの激しい木村先輩を射止める女性がいるのならどんな人になるのかって、そんなことを朝礼の時間に考えていた。