早河シリーズ序章【白昼夢】スピンオフ
私はあの三人の女の子がテストの順位で賭け事をしていたこと、今回の中間テストで私が2位になってしまって賭けに負けたこと、
私を逆恨みしてお金を恐喝してきたこと、テストの順位表が貼り出された翌日から持ち物が盗まれる嫌がらせを受けたこと。
自分がわかる範囲の事情を包み隠さず話した。
先輩達は黙って私の話に耳を傾けている。途中で部活を終えた渡辺先輩が生徒会室に入って来たけど、空気を読んだのか渡辺先輩も何も言わずに椅子に座っていた。
「……だいたいこんな感じなんです。私にも何が何だかわからなくて」
話している間、私はずっとうつむいていた。彼女達に何も言い返せなかった臆病な自分が情けないのと、真っ直ぐ突き刺さる木村先輩の視線が痛かった。
『何かさぁ、すっげームカつくんだけど。何だよそいつら。人の成績賭けて負けたら逆恨みって。増田さんには何の落ち度もないのに』
斜め前から聞こえた冷えた声で私は顔を上げた。無表情の緒方先輩が視界に入る。
普段は明るくて陽気な緒方先輩が、今は眉間にシワを寄せて怒りを顕にしている。高園先輩は顎に手を添えて考え事をしていた。
『なぁ悠真、そいつら俺に……』
『晴。止めておけ』
緒方先輩の言葉を木村先輩が塞ぐ。ムッとした顔で緒方先輩が木村先輩を睨んだ。
『なんでだよ。理不尽な言いがかりで増田さんは嫌がらせされてるんだぞ? ほうっておけって言うのか?』
『女同士の問題に男が首突っ込むものじゃねぇよ。理由はどうあれ結局は増田さんが自分で解決するしかない』
『ずいぶん冷たいな。お前、それでも副会長か?』
仲良しなはずの緒方先輩と木村先輩の雰囲気が険悪なものになっていくのに、動揺しているのは私だけで高園先輩も渡辺先輩も二人の口論を止めようとはしない。
『仮に晴や俺達生徒会が出て嫌がらせを止めさせたとしても一時のことだ。すぐにまた違う形で嫌がらせは始まる。今度は俺達には知られないようにしてな。男の前では女はいくらでもイイ顔するんだよ』
『晴。隼人の言う通りだ。俺達がここで増田さんに手を貸しても根本的な解決にはならない』
木村先輩に続いて高園先輩も緒方先輩を諭した。二人に意見を止められてしまった緒方先輩はふて腐れて黙り込んでしまう。
私を逆恨みしてお金を恐喝してきたこと、テストの順位表が貼り出された翌日から持ち物が盗まれる嫌がらせを受けたこと。
自分がわかる範囲の事情を包み隠さず話した。
先輩達は黙って私の話に耳を傾けている。途中で部活を終えた渡辺先輩が生徒会室に入って来たけど、空気を読んだのか渡辺先輩も何も言わずに椅子に座っていた。
「……だいたいこんな感じなんです。私にも何が何だかわからなくて」
話している間、私はずっとうつむいていた。彼女達に何も言い返せなかった臆病な自分が情けないのと、真っ直ぐ突き刺さる木村先輩の視線が痛かった。
『何かさぁ、すっげームカつくんだけど。何だよそいつら。人の成績賭けて負けたら逆恨みって。増田さんには何の落ち度もないのに』
斜め前から聞こえた冷えた声で私は顔を上げた。無表情の緒方先輩が視界に入る。
普段は明るくて陽気な緒方先輩が、今は眉間にシワを寄せて怒りを顕にしている。高園先輩は顎に手を添えて考え事をしていた。
『なぁ悠真、そいつら俺に……』
『晴。止めておけ』
緒方先輩の言葉を木村先輩が塞ぐ。ムッとした顔で緒方先輩が木村先輩を睨んだ。
『なんでだよ。理不尽な言いがかりで増田さんは嫌がらせされてるんだぞ? ほうっておけって言うのか?』
『女同士の問題に男が首突っ込むものじゃねぇよ。理由はどうあれ結局は増田さんが自分で解決するしかない』
『ずいぶん冷たいな。お前、それでも副会長か?』
仲良しなはずの緒方先輩と木村先輩の雰囲気が険悪なものになっていくのに、動揺しているのは私だけで高園先輩も渡辺先輩も二人の口論を止めようとはしない。
『仮に晴や俺達生徒会が出て嫌がらせを止めさせたとしても一時のことだ。すぐにまた違う形で嫌がらせは始まる。今度は俺達には知られないようにしてな。男の前では女はいくらでもイイ顔するんだよ』
『晴。隼人の言う通りだ。俺達がここで増田さんに手を貸しても根本的な解決にはならない』
木村先輩に続いて高園先輩も緒方先輩を諭した。二人に意見を止められてしまった緒方先輩はふて腐れて黙り込んでしまう。