早河シリーズ序章【白昼夢】スピンオフ
ああ……緒方先輩! 私のせいでごめんなさい!!
「緒方先輩、私なら平気です。先輩達の言うように自分のことは自分で解決しますから!」
『でもなぁ。納得いかねぇ』
『お前が納得いく、いかないの問題じゃねぇだろ。あのさ、増田さんは自分は何も悪いことはしていないと思ってるんだよな?』
木村先輩が揺り椅子をゆらゆら揺らしてこちらを見た。うわぁ! 木村先輩に話しかけられたっ!
「はい……」
『それならどうしてそんなにビクビクしてる? テストで2位になったのは増田さんの実力。自分に落ち度がないなら堂々としてれば?』
穏やかに微笑みかける木村先輩の背後に薔薇の花とキラキラしたものが見える……私はついに幻覚を見るまでになってしまったのか。
ううう……鼻血出そう……生きててよかった。
「堂々と……?」
『そうそう。さっきの奴らにまた何か言われた時は思ってること言い返してやれ。何も言わずにやられっぱなしだから相手が調子のるんだよ』
揺り椅子から立ち上がった木村先輩が私の側にかがみこみ、私と目線を合わせてくれる。心臓が異常なほど速く動いてる。
『頑張れよ。自分を守れるのは自分だけだ』
優しくて温かい木村先輩の笑顔にまた涙が溢れた。
『あ、今度は隼人が泣かせたー。女泣かせー』
『これは嬉し泣きだろ。泣いてばかりじゃ目が腫れるぞ?』
緒方先輩が陽気に笑って木村先輩をからかい、木村先輩の大きな手のひらが私の頭をポンポン撫でている。
私、今が幸せ絶頂期かもしれない。憧れの木村先輩から頭ポンポンされるなんて……もうこの先の運をすべて使い果たしたかもしれないけど幸せだった。
泣き止んだ私は先輩達にお礼を言って生徒会室のある旧校舎を出る。
裏門から出たことがない私のために高園先輩が裏門から最寄り駅の高円寺駅までの地図を書いてくれた。高園先輩の綺麗な字で書かれた地図を見ながら駅までの道を歩く。
日が落ちて紫色に染まる空を仰いだ。まだ問題は何も解決していないけど不思議と心は穏やか。先輩達に話を聞いてもらえたことで沈んでいた気持ちも軽くなった。
そうだよ。自分のことは自分でなんとかしなくちゃ。でもなんとかって言ってもどうすればいいのか皆目わからない。
明日、亜矢や桃子ちゃん達に相談してみよう。
「緒方先輩、私なら平気です。先輩達の言うように自分のことは自分で解決しますから!」
『でもなぁ。納得いかねぇ』
『お前が納得いく、いかないの問題じゃねぇだろ。あのさ、増田さんは自分は何も悪いことはしていないと思ってるんだよな?』
木村先輩が揺り椅子をゆらゆら揺らしてこちらを見た。うわぁ! 木村先輩に話しかけられたっ!
「はい……」
『それならどうしてそんなにビクビクしてる? テストで2位になったのは増田さんの実力。自分に落ち度がないなら堂々としてれば?』
穏やかに微笑みかける木村先輩の背後に薔薇の花とキラキラしたものが見える……私はついに幻覚を見るまでになってしまったのか。
ううう……鼻血出そう……生きててよかった。
「堂々と……?」
『そうそう。さっきの奴らにまた何か言われた時は思ってること言い返してやれ。何も言わずにやられっぱなしだから相手が調子のるんだよ』
揺り椅子から立ち上がった木村先輩が私の側にかがみこみ、私と目線を合わせてくれる。心臓が異常なほど速く動いてる。
『頑張れよ。自分を守れるのは自分だけだ』
優しくて温かい木村先輩の笑顔にまた涙が溢れた。
『あ、今度は隼人が泣かせたー。女泣かせー』
『これは嬉し泣きだろ。泣いてばかりじゃ目が腫れるぞ?』
緒方先輩が陽気に笑って木村先輩をからかい、木村先輩の大きな手のひらが私の頭をポンポン撫でている。
私、今が幸せ絶頂期かもしれない。憧れの木村先輩から頭ポンポンされるなんて……もうこの先の運をすべて使い果たしたかもしれないけど幸せだった。
泣き止んだ私は先輩達にお礼を言って生徒会室のある旧校舎を出る。
裏門から出たことがない私のために高園先輩が裏門から最寄り駅の高円寺駅までの地図を書いてくれた。高園先輩の綺麗な字で書かれた地図を見ながら駅までの道を歩く。
日が落ちて紫色に染まる空を仰いだ。まだ問題は何も解決していないけど不思議と心は穏やか。先輩達に話を聞いてもらえたことで沈んでいた気持ちも軽くなった。
そうだよ。自分のことは自分でなんとかしなくちゃ。でもなんとかって言ってもどうすればいいのか皆目わからない。
明日、亜矢や桃子ちゃん達に相談してみよう。