早河シリーズ序章【白昼夢】スピンオフ
 私を恐喝してきた三人組もどちらかのグループ所属ってことだよね?

『さっき証拠がどうとか言ってたが、俺達が入手したアルファルドとレグルスの帳簿が証拠だ。何年何月にどの定期テストで誰が1位になるか、誰にいくら賭けていくら儲かったか、ご丁寧にすべて記録されてんだよ。賭けの対象に俺と高園会長の名前もあった。人の成績を賭けのネタにしやがってお前ら最低だな』

 見た目は平静を装っていても、木村先輩の怒りは言葉の端々から伝わってくる。木村先輩の迫力に負かされてざわついていた三年生や二年生も黙っている。入学して間もない一年生は事の成り行きを静観していた。

『僕達生徒会ができることは生徒を守ることです。賭けに関与した生徒を断罪して処罰するのは先生方の仕事ですので僕達は処罰に関しては口出しはしません』
『誰が停学だ退学だ、そんなことはどうでもいい。たがひとつだけ言っておく。お前らのくだらないお遊びのせいで何も関係のない生徒が悩み苦しんだ。そのことだけはよく覚えておけ』

 高園先輩と木村先輩の怒りの告発に震え上がった生徒は多いだろう。木村先輩の最後の言葉に私の事も含まれているのかと思うと、涙腺が緩んだ。

『以上で生徒会からの話は終わります。異議申し立てがあれば受け付けますが、誰か意見や質問のある人はいますか?』

高園先輩が体育館を見渡すも、誰も手を挙げない。怒鳴ったり意見を言う人もいない。
……こんなに恐い二人組に意見できる人はいませんよ!

『……いないようですね。ではこれで全校集会を終了します。この後の授業については各学年で先生からの説明がありますので先生の指示に従ってください』

 最後は高園先輩の微笑みで全校集会は終了した。

「高園先輩も木村先輩も怖かったけど格好よかったね! まさに正義のヒーローって感じでさっ」

 教室に戻って次の授業の開始を待つ間、教室の話題は高園先輩達の話で持ちきりだった。

本当に先輩達は格好よかった。あんな風に堂々と人前に出て、怒鳴られても冷静に対処して自分の意見がはっきり言える。
あの二人はなるべくしてなった生徒会長と副会長だと思う。
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