早河シリーズ序章【白昼夢】スピンオフ
木村先輩が桃子ちゃんに詰め寄った。
『兵藤桃子。あんたはアルファルドとレグルスには属していないが、シルバージャガーの影の頭として賭けに関与していた。あんたの兄貴が全部話してくれたぜ』
「こんな奴らに脅されたくらいで簡単に口を割るなんてお兄ちゃんも情けないなぁ」
『俺らは別に兄貴を脅したつもりはねぇよ。兄貴が自分からお前を止めてやってくれって俺達に頼んだんだ。兄貴の方がまだ人としての良心があるよな?』
木村先輩と桃子ちゃんの距離が机三つ分の距離まで縮まっていた。彼は切り刻まれた私のノートの切れ端を拾う。
『あんたが影のリーダーとして賭けを仕切っていたことはわかった。しかしわからないのはあんたが増田さんに嫌がらせをした理由だ。どうして増田さんだけにこんな嫌がらせをする?』
「決まってるじゃない。そこにいるあの子が気に入らないからよ」
桃子ちゃんが顎で私を指した。桃子ちゃんの視線が怖くて足が震える私を後方にいた渡辺先輩が肩を抱いて支えてくれる。
その様子が桃子ちゃんの気に障ったみたいで、彼女はまた大きく舌打ちした。
「いいよねぇ。そうやって、か弱くしておけば男が寄ってきて守ってくれて。あんたのような弱虫でひとりじゃ何もできない人間が一番ムカつくのよ」
「桃子ちゃん……私達……友達じゃなかったの?」
足と同じように口から出る言葉も震えていた。桃子ちゃんが甲高い笑い声をあげる。
「友達? まさかぁ。あんたみたいな気の弱い子なら、私の思い通りになってくれると思ったのよ。あんたを友達だと思ったことは一度もない」
桃子ちゃんの言葉が胸に突き刺さる。
「気が弱くてひとりじゃ何もできない臆病者のくせに勉強だけはできるイイ子。あー。うざったい。なんであんたが2位なの? 私はね、テストの賭けを知ってるからわざと上位にならないように手を抜いてきたの。アルファルドとレグルスの連中は私がシルバージャガーの頭の妹だって知らないからね。私が実力出して1位になっちゃえば色々と面倒なのよ。わかる?」
わからない。わからないよ。どうして?
友達だったのに。信じていたのに……。
「私がわざと手を抜いてやってるのに何も知らないあんたは2位になったぁ! って馬鹿みたいに喜んで。あんたが2位になった時の私の気持ちわかる? なんであんたが2位……」
桃子ちゃんの言葉の途中で物凄い音を立てて木村先輩が椅子を蹴飛ばした。
ええっ? 木村先輩っ!?
『兵藤桃子。あんたはアルファルドとレグルスには属していないが、シルバージャガーの影の頭として賭けに関与していた。あんたの兄貴が全部話してくれたぜ』
「こんな奴らに脅されたくらいで簡単に口を割るなんてお兄ちゃんも情けないなぁ」
『俺らは別に兄貴を脅したつもりはねぇよ。兄貴が自分からお前を止めてやってくれって俺達に頼んだんだ。兄貴の方がまだ人としての良心があるよな?』
木村先輩と桃子ちゃんの距離が机三つ分の距離まで縮まっていた。彼は切り刻まれた私のノートの切れ端を拾う。
『あんたが影のリーダーとして賭けを仕切っていたことはわかった。しかしわからないのはあんたが増田さんに嫌がらせをした理由だ。どうして増田さんだけにこんな嫌がらせをする?』
「決まってるじゃない。そこにいるあの子が気に入らないからよ」
桃子ちゃんが顎で私を指した。桃子ちゃんの視線が怖くて足が震える私を後方にいた渡辺先輩が肩を抱いて支えてくれる。
その様子が桃子ちゃんの気に障ったみたいで、彼女はまた大きく舌打ちした。
「いいよねぇ。そうやって、か弱くしておけば男が寄ってきて守ってくれて。あんたのような弱虫でひとりじゃ何もできない人間が一番ムカつくのよ」
「桃子ちゃん……私達……友達じゃなかったの?」
足と同じように口から出る言葉も震えていた。桃子ちゃんが甲高い笑い声をあげる。
「友達? まさかぁ。あんたみたいな気の弱い子なら、私の思い通りになってくれると思ったのよ。あんたを友達だと思ったことは一度もない」
桃子ちゃんの言葉が胸に突き刺さる。
「気が弱くてひとりじゃ何もできない臆病者のくせに勉強だけはできるイイ子。あー。うざったい。なんであんたが2位なの? 私はね、テストの賭けを知ってるからわざと上位にならないように手を抜いてきたの。アルファルドとレグルスの連中は私がシルバージャガーの頭の妹だって知らないからね。私が実力出して1位になっちゃえば色々と面倒なのよ。わかる?」
わからない。わからないよ。どうして?
友達だったのに。信じていたのに……。
「私がわざと手を抜いてやってるのに何も知らないあんたは2位になったぁ! って馬鹿みたいに喜んで。あんたが2位になった時の私の気持ちわかる? なんであんたが2位……」
桃子ちゃんの言葉の途中で物凄い音を立てて木村先輩が椅子を蹴飛ばした。
ええっ? 木村先輩っ!?