早河シリーズ第二幕【金平糖】
渋谷のネットカフェで早河はレジに居た男性店員に有紗の写真を見せ、有紗がここに来ていないか尋ねた。
疑わしげに早河をねめつける店員に、自分は有紗の父親から彼女を預かってると事情を説明してもなかなか信じてくれない。何度か交渉をしてようやく話を聞き出せた。
こういう時、警察の国家権力があれば容易いのにと警察の身分を手放したことを惜しく思う。
『店を出たのはどのくらい前?』
『20分……くらい前ですね。慌てた様子で。制服だったからそのうち補導されちゃいますよ』
男性店員に礼を言い、エレベーターを使わずにビルの階段を降りた。やはり有紗はここに来ていた。
(ったく。あのワガママ娘はどこ行った?)
ネットカフェを出ても有紗には行く宛もない。渋谷のどこかに有紗はいるはずだ。
また有紗の携帯に電話をかけるがコール音が鳴り続けるだけ。向こうは徹底的に無視を決め込んでいるのだろう。
(世話の焼ける奴だ)
彼は再び、寒空の渋谷の街を駆け出した。
疑わしげに早河をねめつける店員に、自分は有紗の父親から彼女を預かってると事情を説明してもなかなか信じてくれない。何度か交渉をしてようやく話を聞き出せた。
こういう時、警察の国家権力があれば容易いのにと警察の身分を手放したことを惜しく思う。
『店を出たのはどのくらい前?』
『20分……くらい前ですね。慌てた様子で。制服だったからそのうち補導されちゃいますよ』
男性店員に礼を言い、エレベーターを使わずにビルの階段を降りた。やはり有紗はここに来ていた。
(ったく。あのワガママ娘はどこ行った?)
ネットカフェを出ても有紗には行く宛もない。渋谷のどこかに有紗はいるはずだ。
また有紗の携帯に電話をかけるがコール音が鳴り続けるだけ。向こうは徹底的に無視を決め込んでいるのだろう。
(世話の焼ける奴だ)
彼は再び、寒空の渋谷の街を駆け出した。