早河シリーズ第二幕【金平糖】
『和田組の西山は組長を退いて今は相談役のような立場にいますが、まだまだ組への影響力は強い。その西山と貴嶋佑聖が繋がっていたんですよ』
犯罪組織カオスのキング、貴嶋佑聖の名前が出て早河もなぎさも顔色を変えた。しばらく誰も一言も話さない。
矢野はなぎさに渡された鎮痛剤を飲み、ソファーに横になると話を続けた。
『ビルが建てられたのは5年前の2003年。西山がビルを買い取ったのが4年前。その時、西山にビルを売った相手が貴嶋なんです。あのビルの本当の持ち主は貴嶋だったんです』
『MARIAの大元は貴嶋か……』
『ビルの構造上、建物が完成してから新たに地下二階が造られたとは考えにくいですからね。地下二階はビルが建てられた当時から何らの目的で造られていた。そこにテナントとしてMARIAが入り、MARIAごと貴嶋は西山にビルを売った。大方こんな図式でしょう』
ビルの完成が5年前。有紗の母親が失踪したのも5年前。時代の一致は偶然か、それとも。
『MARIAの裏にはカオスが関与してるってことだな。一連の事件にもカオスは無関係じゃないかもしれない』
『おそらくは。たとえ貴嶋本人がMARIAと関わりがなくても元のオーナーの貴嶋はMARIAの元締めが誰かを知っているだろうし、MARIAの運営のバックにカオスがいることは明らかです』
寝たまま顔だけをデスクの早河に向けて矢野はニヤリと笑った。
『どうです? なかなかデカいネタでしょ? このネタ掴んだおかげで、カオスか和田組か知りませんけど、こわーいお兄さん達に囲まれてこの有り様。命からがら逃げて来たんですよ。少しは褒めてもらいたいですねぇ』
『ああ。最近のネタの中じゃ大物だ。よくやったよ』
早河の顔に笑顔はない。彼はリクライニングした椅子の背に身体を預けて目を閉じた。
犯罪組織カオスのキング、貴嶋佑聖の名前が出て早河もなぎさも顔色を変えた。しばらく誰も一言も話さない。
矢野はなぎさに渡された鎮痛剤を飲み、ソファーに横になると話を続けた。
『ビルが建てられたのは5年前の2003年。西山がビルを買い取ったのが4年前。その時、西山にビルを売った相手が貴嶋なんです。あのビルの本当の持ち主は貴嶋だったんです』
『MARIAの大元は貴嶋か……』
『ビルの構造上、建物が完成してから新たに地下二階が造られたとは考えにくいですからね。地下二階はビルが建てられた当時から何らの目的で造られていた。そこにテナントとしてMARIAが入り、MARIAごと貴嶋は西山にビルを売った。大方こんな図式でしょう』
ビルの完成が5年前。有紗の母親が失踪したのも5年前。時代の一致は偶然か、それとも。
『MARIAの裏にはカオスが関与してるってことだな。一連の事件にもカオスは無関係じゃないかもしれない』
『おそらくは。たとえ貴嶋本人がMARIAと関わりがなくても元のオーナーの貴嶋はMARIAの元締めが誰かを知っているだろうし、MARIAの運営のバックにカオスがいることは明らかです』
寝たまま顔だけをデスクの早河に向けて矢野はニヤリと笑った。
『どうです? なかなかデカいネタでしょ? このネタ掴んだおかげで、カオスか和田組か知りませんけど、こわーいお兄さん達に囲まれてこの有り様。命からがら逃げて来たんですよ。少しは褒めてもらいたいですねぇ』
『ああ。最近のネタの中じゃ大物だ。よくやったよ』
早河の顔に笑顔はない。彼はリクライニングした椅子の背に身体を預けて目を閉じた。