逃げた私を彼は掴んで離さない

「俺はまだ好きなんだけど」

そんなの、、


教室の前の廊下で喋っていることに気づいたのか、私の腕をとり、自分の行ったことのない階段を登っていく。


どうせ、この腕を振り払うことはできない…


階段を登った先は人気のない踊り場だった。

登ったところで彼は右手で首を触った。 


あ 、、

頭の中で記憶を振り払いながら彼を見つめた。

「で、付き合ってくれる?」

「なにいってんの、」

「言ったじゃん。」

「さっきからそれしか言ってないじゃん。」

「いいから、どっちなの」

「…嫌に決まってるじゃん。」

「なんで」

「振ったんだから、理由なんていらないでしょ」

「俺が知りたい」

ムッとして、

「嫌いだからだよ、」

「嘘つきだな」

「嘘なんてついてない、今私があなたと関係を持ちたいと思ってたらの話でしょ」


「はーぁ、もういいわ」
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