逃げた私を彼は掴んで離さない
「どうした?」
「ーっえ?あっ、うん、なんにもない!」
相手も目を大きく開けて、私を見ている
ほんとはしたくなかったけど、しないと不自然だから
「はじめまして日高花恋ですお願いします」
一息で自己紹介を終えて、席に座ろうとしたとき
「原田祐莉(はらだゆうり)です、お願いします。」
コウを挟んで奥から身を乗り出して、私の目を見て言った。
まるで獲物を狙うみたいに。
私はこの目を知ってる。