備えあれば憂いなし

第五話 なぜここに?


◯ 喫茶店 - カウンター席
凛子(驚き): 「えっ…なんであなたがここに?」
シン(驚いて): 「あ、その……僕ここで働いてるの」
淳也(マスター): 「え、もしかして知り合いだったの? あ、シンのファン?」
2人を交互に指差す。凛子はマスターの声をしっかり聞くのは初めて。

凛子(少し戸惑いながら): 「えっと、少し前に……お会いして。そのとき助けてくれて。会ってお礼言いたかったんですけどまさか」  

シン: 「あの時の雨、大丈夫だった?スタッフさんに聞いたら終わる前に帰っちゃったって」
凛子: 「あの日は本当に大変で…。でも、あなたに助けてもらって本当に助かりました。ありがとうございます」
シン: 「いいえ。俺もびっくりしたけど、なんとか無事でよかった、心配だったよ」

淳也(軽く笑って): 「へぇ、偶然あるんだな。それにここ、ガイドブックにも載ってない」
凛子: 「たまたま雨宿りに来て……」
淳也: 「それも偶然だ。あと……いつも写真撮ってたから、勝手にインフルエンサーか何かだと思ってたんだ」
凛子(照れた様子で): 「あ、あれはただ、写真撮ってるだけで意味はなく」

淳也はそうなの? みたいな顔。

シン(微笑んで): 「知らずに俺の作ったご飯、食べてたなんて」
凛子: 「そうね……びっくり」
シン: 「うん、俺は厨房にいることが多いからね」
凛子は若い男性と話すことに慣れておらず戸惑いながらも当たり障りのない話をする。

凛子: 「料理上手ですね。私は全然できないから、羨ましい。」
シン: 「子供の頃からやっててね。それにできる人がやればいいんだよ。ハードルは高くない、ですよね……マスター」
純也:「そうそう」

凛子(心の声): 「できる人がやればいい…そう言ってくれる人もいるんだ。」
凛子はなんかホッとする。淳也がまたケーキを出す。シンの分もコーヒーと一緒に。

凛子はシンの言葉に少し心が和むが、同時に過去の婚約破棄や自身のコンプレックスが頭をよぎる。

シン: 「あの時はバタバタしてて。だけど、今こうしてまた会えたのは、なんか運命感じるね。」
凛子: 「運命か…」
シン: 「ま、あんまり重く考えなくていいよ」
凛子: 「ありがとう…。シン……君って、思ってたよりずっと落ち着いてるんだね。」
シン(微笑みながら): 「それはどうかな。あ、シンでいいよ。僕より年上でしょ?」
凛子: 「……(やはり年上に見られるよね)うん。あ、わたし欅凛子……」

シン: 「凛子、凛子さんね。改めまして葛城シンです、げいにんやってます」
凛子: 「よろしくお願いします」

シンから手を差し伸べられて凛子は戸惑いつつも手を出す。温かい手に凛子はドキッとする。

淳也(会話に割って入る): 「あ、凛子さん。ついでですが僕は木根淳也と申します」
凛子(驚いて): 「は、はい……よろしくお願いします。いつも美味しいケーキとコーヒーありがとうございます」

シン(少し笑いながら): 「僕ら同級生でさ。26歳」
凛子: 「若っ!」
ついに声出してしまい口に手を当てる。マスターもシンも笑う
シン: 「でもアラサーだし……」
凛子:「(心の中で)2人とも年下……今更私35歳、アラフォーなんて言えない」

淳也(微笑んで): 「常連さんが増えるのは大歓迎だよ。シンくんもいるし、これからもゆっくりしていってください」
凛子(頷いて): 「ありがとうございます」
シン:「あ、メアド……」
凛子:「……は、はい」

グイグイ押されるがままに交換してしまう凛子。その後まだ会話が続く。

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