【改稿版】罰ゲームで私はウソの告白をされるそうです~モブ令嬢なのに初恋をこじらせているヤンデレ王子に溺愛されています~【電子書籍化進行中】
11 怖すぎです
ローレル殿下に気がついた私は、すぐに廊下の端により、うつむいて顔を隠すように頭を下げた。
本当ならこの場から走って逃げだしたい気分だったけど、ローレル殿下の後ろには護衛の大柄な男子生徒がつき従っている。怪しい動きをすると、護衛に捕まえられてしまうかもしれない。
目が合わないように視線を下げて静かに待っていると、ローレル殿下の足は、なぜか私の前で止まった。
「リナリア・ノース」
急に名前を呼ばれたので、驚いた私はつい顔を上げてしまう。そこには、シオン殿下とよく似た顔のローレル殿下がいた。
「久しぶりだね、リナリア。私のことを覚えているかな?」
「……もちろんです、殿下」
私が視線をそらしながら答えると、ローレル殿下は勢いよく壁に右手を叩きつけた。耳元でバンッと大きな音がしてので、私は恐怖のあまり小さく悲鳴をあげながら目を瞑る。
「リナリア」
目を瞑って初めて気がついた。ローレル殿下とシオン殿下の声はそっくりだわ。でも、シオン殿下とは違い、ローレル殿下の言葉には少しも温かさがない。
「私を見て?」
恐る恐る目を開くと、私の目の前にローレル殿下の顔があった。
「えっ?」
なぜかローレル殿下に壁際に追いやられ、至近距離から見下ろされている。
「リナリア、顔色が悪いよ。こんなに震えてどうしたの?」
ローレル殿下は、私の髪を優しく撫でながら耳元で囁いた。
「ねぇ。もしかして、リナリアは、私達二人の王子をまだ見分けることができるのかな? そうだったら困るなぁ」
少しも困っていなさそうなローレル殿下はニコリと微笑んだけど、その貼り付けたような冷たい笑みに全身が震える。
「リナリア、私が誰だか言ってみて?」
目の前の人がローレル殿下だと分かりきっていたけど、『見分けがつくと困る』と言われたので、私は、わざとローレル殿下のネクタイを確認するふりをしてから「……シオン殿下、ですよね?」と小声で答えた。
ローレル殿下は「ふーん?」と言いながら口端を上げ、急に興味を無くしたようにパッと私から離れた。
「まぁ、どうでもいいか。私の周りで身内がコソコソと何かしているみたいだから、これから面白いことがおこるのかもって期待しているんだけど。リナリアもそれに関係があるのかな? 何が起こるのか楽しみだなぁ。頑張って私を楽しませてね」
励ますように私の肩を軽く二回叩いてから、ローレル殿下は去って行った。そのあとを護衛の男子生徒があくびをしながらついていく。
私の目の前を通り過ぎた大柄の護衛は、黒髪を肩まで伸ばしているのに整えておらず、やる気がなさそうに見えた。護衛の男子生徒は、ネクタイを外していたので学年は分からない。
同じ王子様の護衛でも、真面目そうなゼダ様とは大違いね。
ローレル殿下と護衛の後ろ姿が完全に見えなくなってから、私は深く息を吐いた。
何あれ……怖すぎ。
久しぶりに近くで見たローレル殿下は、子どものころよりさらに危険な雰囲気をまとっている。
ローレルは『身内がコソコソ』って言っていたけど、もしかしてシオン殿下が何かしようとしているの? 私とシオン殿下で悪いウワサをなくそうと決めたのは、ついさっき話したばかりだからさすがにバレていないよね?
私は今になって、シオン殿下の悪いウワサをなくそうとすることは、あのローレルに敵対することになるのだと気がついた。
すごく怖い……けど、シオン殿下のためだもの! やらないという選択肢はないわ!
私は、未だに震えている両手を強く握りしめた。
本当ならこの場から走って逃げだしたい気分だったけど、ローレル殿下の後ろには護衛の大柄な男子生徒がつき従っている。怪しい動きをすると、護衛に捕まえられてしまうかもしれない。
目が合わないように視線を下げて静かに待っていると、ローレル殿下の足は、なぜか私の前で止まった。
「リナリア・ノース」
急に名前を呼ばれたので、驚いた私はつい顔を上げてしまう。そこには、シオン殿下とよく似た顔のローレル殿下がいた。
「久しぶりだね、リナリア。私のことを覚えているかな?」
「……もちろんです、殿下」
私が視線をそらしながら答えると、ローレル殿下は勢いよく壁に右手を叩きつけた。耳元でバンッと大きな音がしてので、私は恐怖のあまり小さく悲鳴をあげながら目を瞑る。
「リナリア」
目を瞑って初めて気がついた。ローレル殿下とシオン殿下の声はそっくりだわ。でも、シオン殿下とは違い、ローレル殿下の言葉には少しも温かさがない。
「私を見て?」
恐る恐る目を開くと、私の目の前にローレル殿下の顔があった。
「えっ?」
なぜかローレル殿下に壁際に追いやられ、至近距離から見下ろされている。
「リナリア、顔色が悪いよ。こんなに震えてどうしたの?」
ローレル殿下は、私の髪を優しく撫でながら耳元で囁いた。
「ねぇ。もしかして、リナリアは、私達二人の王子をまだ見分けることができるのかな? そうだったら困るなぁ」
少しも困っていなさそうなローレル殿下はニコリと微笑んだけど、その貼り付けたような冷たい笑みに全身が震える。
「リナリア、私が誰だか言ってみて?」
目の前の人がローレル殿下だと分かりきっていたけど、『見分けがつくと困る』と言われたので、私は、わざとローレル殿下のネクタイを確認するふりをしてから「……シオン殿下、ですよね?」と小声で答えた。
ローレル殿下は「ふーん?」と言いながら口端を上げ、急に興味を無くしたようにパッと私から離れた。
「まぁ、どうでもいいか。私の周りで身内がコソコソと何かしているみたいだから、これから面白いことがおこるのかもって期待しているんだけど。リナリアもそれに関係があるのかな? 何が起こるのか楽しみだなぁ。頑張って私を楽しませてね」
励ますように私の肩を軽く二回叩いてから、ローレル殿下は去って行った。そのあとを護衛の男子生徒があくびをしながらついていく。
私の目の前を通り過ぎた大柄の護衛は、黒髪を肩まで伸ばしているのに整えておらず、やる気がなさそうに見えた。護衛の男子生徒は、ネクタイを外していたので学年は分からない。
同じ王子様の護衛でも、真面目そうなゼダ様とは大違いね。
ローレル殿下と護衛の後ろ姿が完全に見えなくなってから、私は深く息を吐いた。
何あれ……怖すぎ。
久しぶりに近くで見たローレル殿下は、子どものころよりさらに危険な雰囲気をまとっている。
ローレルは『身内がコソコソ』って言っていたけど、もしかしてシオン殿下が何かしようとしているの? 私とシオン殿下で悪いウワサをなくそうと決めたのは、ついさっき話したばかりだからさすがにバレていないよね?
私は今になって、シオン殿下の悪いウワサをなくそうとすることは、あのローレルに敵対することになるのだと気がついた。
すごく怖い……けど、シオン殿下のためだもの! やらないという選択肢はないわ!
私は、未だに震えている両手を強く握りしめた。