ヤンデレ王子様の甘くて重い歪んだ溺愛。
……気づいたら、全部流されてさくくんに決められてる……。
だったら!
「も、もういい……!今日は1人で学校行くもん!」
「本当に1人でいいの?。怖い人に絡まれたらどうするの?」
「か、絡まれないよ……!あ!なら……!」
私にはもう1人幼なじみがいて、家もとっても近い。
まだ学校に行っていないのであれば一緒に行こうって誘ってみようかな……!
いくらさくくんが好きとはいえ、これ以上甘えるわけにもいかないし。
ポケットからスマホを取り出して、幼なじみの水瀬悠河(みなせゆうが)、ゆうちゃんに連絡を入れようとしたその時だった。
パシッ——
私が握っていたスマホを、叩き落とされてしまった。
「さ、さくくん……?」
「……ねぇ、今誰に連絡しようとしたの?」
いつもと優しい笑顔が消えて、とても怖い顔をしている。
少し、足がすくんでしまった。
「知ってる?心のお父さんが勤めてる会社って、僕が一言言えば潰すことができるんだよ?」
「し、知ってるよ……!」
橘財閥の御曹司ってことは、もちろん知ってる……。
けど、さくくんはそんなことしないって……優しい人だから、信じている。
「でも、さくくんは優しい人だから、そんなことしないよ!」
「ふふっ、どうしてそんなこと言い切れるの?僕が優しく見えるなんて、やっぱり心は放っておけないなぁ」
さくくんは時々こうやって黒いオーラが出ているような表情をしながら私に優しく微笑む。
「……いい加減、悠河と関わるのはやめよう?」
「な、なんで……ゆうちゃんとってもいい人だよ……?」
「僕が嫌なんだよ」
「っ……」
逆らえない……もし、お父さんの勤めている会社が潰されてしまっては、私が耐えられない。