ヤンデレ王子様の甘くて重い歪んだ溺愛。


放課後。



いつもなら休み時間にさくくんが教室に訪れるのに今日はさくくんは現れなかった。


なんだか不思議だななんて思いながら杏奈ちゃんと綾乃ちゃんと共に教室を出た時だった。


「心!」

「さ、さくくん?」


突然さくくんが現れたのだ。


「帰ろっか」

「あ、あの……実は今日は……」

「ん?なにかあるの?」


ま、また黒い笑みがっ……!

怖くて震えると、杏奈ちゃんが私の腕を引き、走りだしたのだ。


綾乃ちゃんも後ろからついてきて、3人で全力疾走中。


けれどさくくんが私たちを追いかけてくるような雰囲気はしなかった。


そのまま私たちは待ち合わせをするという場所で男子高校生さんたちを待っていた。


……さ、さくくん怒るかな……?

なんか今更怖くなってきた………。


「……あ!きたきた!」

「おー!」


綾乃ちゃんと杏奈ちゃんが嬉しそうに言葉を発して、視線を移すとそこには……。


「ごめんごめーん遅くなってー!」


テンションの高そうな金髪の人と、大人しそうな人にものすごく嫌そうな顔をして歩いてくる3人組がいた。


……世間一般的にいう、イケメンさんだ……。


「いーえいーえ!じゃあいきましょっか!」


綾乃ちゃんのその言葉とともに歩きだし、カラオケに向かう。


……背の高い、イケメンさんたち……。


なんだかものすごい圧があって、私なんかいていいのかわからない……!!

やっぱり私だけ場違いだよね……!?でも、引き返すなんてできないし……。


オドオドしていると、杏奈ちゃんがボソッと声をかけてくれる。


「押してダメなら引いてみろ、だよっ?」

「う、うん……!」


おそらくさくくんのことを言ってくれたのだと思う。
あまり押せてはないけど……引くことも、大事だよね。


しばらくして店内に入り、席に座り自己紹介をした。3対3で向き合うような形。

杏奈ちゃんや綾乃ちゃんは可愛らしい歌をたくさん歌っていて、とても場を盛り上げている。

イケメンさん2人も、流行りの曲を歌い、とても楽しそうにしていた。


やっぱり場違いだったなぁ……もう、合コンには一生こないと思う。



「……あの」

「……?はい?!」


大人っぽくて大人しそうな、たしか名前は……夏樹飛鳥さんだ……!


「居心地悪いですよね……俺もこういうとこ来たくなくて……」

「あ、あははっ……」

「星月心さん、でしたよね」

「はい……!」

「何年ですか?」

「一年生です!」


夏樹さんは大人っぽいし、2年生とか3年生かな?


「そうなんですね。俺は2年です」

「そうなんですね……!」


さくくんと同い年だ……!!

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