ヤンデレ王子様の甘くて重い歪んだ溺愛。
「……星月さん」

「はい……?」


その時だった。ガチャンとドアが開いたのだ。


「心!!」

「っ……!?さくくん!?」


まさかの、現れた人物はさくくん。私のことをぎゅっと強く抱きしめた。



「ねぇ……僕とのデート、放って浮気してたの?」


う、浮気……?どこが浮気なの……!?

そもそも私たち付き合ってないし……!!


「……な、なんでここにいることがわかったの……!?」

「僕と心は離れていても繋がっているからね」

「そ、そうじゃなくて……!!」

「とにかく帰るよ。」


机の上にポンと置かれたお金。

手を引かれて、私はポカンとするばかりで、抵抗することができなかった。


さくくんも無言で。周りもポカンとしていて、誰も助けてくれないまま、連れて行かれてしまった。


そして車に乗り込み、その間もずっと抱きしめられている私。


「……なんで、きたの……?」

「なんでって、心がそこにいるからだよ」


またにこって笑うさくくん。


「でもさ、合コンに出たことは許さないよ」

「……さくくんが決めないで」

「決めるよ。だって、心は僕の全てなんだから」


また、勘違いさせるようなことを言って。

さくくんは私を惑わしてどうしたいの……?


「……ねぇ心。一生引きずるけど、今日はひどいこはしない。でも、次やったら……どうなるかわからないからね」

「……う、ん……」


夏樹さんが言おうとしていたことは気になるけれど、別に特別楽しいものなわけじゃなかったし……。



「それに、パフェ一緒に食べに行くのも、一緒に帰らなかったのも、だめだよ。いい?いまだから目を瞑ってあげる」

「うん……わかった……」


小さい頃、さくくんに隠れて読んだ少女漫画。そこに出てくる王子様、私にとっての王子様はさくくんだと思っていた。

だけど、いつしかそれも違うような気がしてしまった。


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