ヤンデレ王子様の甘くて重い歪んだ溺愛。
「言いたくないの?僕に隠し事するなんてひどいね」

「……さくくんだって、好きな人を秘密にしてるじゃん……」


自分だって言えない立場でしょ……?さくくん。


……ボーッとしながら下を向く。


私のお腹に回されたさくくんの腕。


……私は、恋の基準がわからない気がする。


恋愛物語も、ドラマも、こっそりしか観たことがないし、……そういえば、みんながキャーキャー騒いで話しているようなアイドルだって見たことがない。


恋の基準を知るには、どうしたらいいんだろう……。


小さい頃に読んだ少女漫画だけじゃわからない。


かと言って、玲奈ちゃんも教えてくれるわけではない。


……さくくんに聞いたら変なことを教え込まれそうだし……。

……どうやって知ろう……。


……あ!!そうだ!


ゆうちゃんに聞けばいいんだ!


そう思った瞬間、さくくんの腕が力んだ気がした。


……よし、じゃあ恋を知ろう……!

もしかしたら、私の好きはまたまだ未熟な好きで、恋まで至ってないのかもしれないし。



——そんな呑気なことを考えている暇はなかった。


これから、ヒートアップする、狂った王子様相手に。
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