虐げていた姉を身代わりに嫁がせようとしましたが、やっぱりわたしが結婚することになりました

プロローグ

「あなたは俺の花嫁になど本当はなりたくなかったのだろう?」

 豪奢な玉座に腰掛け、鋭い眼光に大胆不敵な笑みを浮かべた、グランディエ国の国王であり、夫となるディオンがそう問いかける。凛々しい顔立ちはまだ若いが、王としての威厳を十分すぎるほど纏っており、問われた花嫁――ミランダは冷や汗を浮かべながら、必死に愛想笑いを浮かべる。

「まぁ、そんなことありませんわ。陛下の花嫁になれて、とってもとーっても光栄に思っております」

 ピンクブロンドに青みがかった緑の瞳の可愛らしい少女は両手を揉み、猫なで声で王の機嫌をとろうとする。その見るからに胡散臭い姿を、壇上を挟む形で待機している臣下たちは怪しいとばかりに目を細める。

 まさに針の筵である。

(ひいぃっ……なんでこんなことになったの~)

 罰が当たってしまったのだろうか。
 自分の代わりに姉を異国へ嫁がせようとして。

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